ぶらじる丸

ぶら志゙る丸（ぶらじる丸）

ぶら志゙る丸は、日本の海運史において重要な貨客船及び特設艦船として名を刻んだ。1938年に三菱長崎造船所で起工され、1939年に竣工したこの船は、日本の移民輸送に多大な影響を与えた。船名の表記は初代が「ぶら志゙る丸」、二代目が「ぶらじる丸」、三代目はポルトガル語の「BRASIL MARU」と異なり、時代とともに変遷している。

初代ぶら志゙る丸

初代ぶら志゙る丸は、あるぜんちな丸級貨客船の二番船として設計され、西回り南米航路を通じて多くの移民を輸送した。その豪華な内装は、著名な建築家や染織家の手による芸術品のようなものであり、特に一等食堂の壁面には絹糸織の装飾が施されていた。この船は、第二次世界大戦の影響を受け、1942年に米潜水艦の攻撃で沈没した。

二代目ぶらじる丸

戦後、南米航路が再開されると、大阪商船は二代目ぶらじる丸を建造する。1953年に竣工した二代目は、ブラジルへの移住者を乗せる役割を担った。初代の豪華さとは異なり、移民輸送を主要業務とするこの船は、時代の要請に応じて進化した。しかしながら、移民の減少や政策の変更により、活動は徐々に縮小されていった。特に1965年には、大幅な改装が行われ、船客定員が半減した。

三代目BRASIL MARU

その後、1990年代に入り、鉄鉱石運搬の需要が高まると、三代目ぶらじる丸であるBRASIL MARUが登場する。2007年に竣工したこの船は、最新の技術を駆使して建造され、ブラジルと日本間の専用シャトル輸送を行う役割を果たしている。環境問題にも配慮した設計がなされ、総合的な船体強度が高められた。

沈没の記録

初代ぶら志゙る丸は、1942年8月にアメリカ潜水艦に攻撃され、沈没するまでの数日間、悲劇的な運命をたどった。便乗者240名を乗せた航海中、魚雷の攻撃を受け、船体が傾斜し、船長は万歳を高唱して船と運命を共にした。生存者の漂流は長期間にわたったが、最終的には救助されている。この悲劇は、その後の海運業界においても大きな影響を与えた。

まとめ

ぶら志゙る丸の歴史は、日本の海運業界の変遷を物語っている。初代の華やかな移民輸送から、二代目の貨客船としての苦難、そして三代目の鉄鉱石運搬船への変貌まで。このように、ぶら志゙る丸の運航は、歴史の節目とともに進化を遂げてきた。

もう一度検索