ヨルシカ「へび」:知への欲求と四季の情景が織りなす世界
ヨルシカの楽曲「へび」は、2025年1月17日にデジタル
シングルとしてリリースされました。この楽曲は、NHK総合テレビで放送されたアニメ『
チ。-地球の運動について-』のエンディングテーマとして使用され、その美しい旋律と深い歌詞で多くの人々を魅了しています。
制作背景
作詞作曲を手掛けたn-bunaは、ある日見た蛇の鱗の美しさに感銘を受け、蛇をテーマにした楽曲制作を開始しました。その過程で、アニメ『
チ。-地球の運動について-』との親和性を感じ、エンディングテーマとして提供することを決めたそうです。n-bunaは、蛇を「知恵への欲求の比喩」と解釈し、春に目覚めて世界を知ろうとする蛇の姿を歌に込めました。また、唐の詩人、
元稹の「離思」の一節を典拠としていることも明かしています。
楽曲の特徴
「へび」の歌詞には、「よもぎ」や「カタバミ」といった春夏の季語が盛り込まれており、春夏秋冬の情景が鮮やかに描かれています。n-bunaの繊細な言葉選びと、suisの透明感あふれる歌声が、楽曲に深みを与えています。
プロモーション
楽曲の一部は、アニメのプロモーションビデオで先行公開されました。その後、デジタル
シングルとしてリリースされると同時に、ノンクレジットエンディング映像も公開され、話題を呼びました。また、アニメーション作家の佐藤美代が手掛けたミュージックビデオも公開され、楽曲の世界観をより一層深めています。佐藤は、歌詞に登場する「巫山」という言葉と、自身が持っていた蛇のイメージからインスピレーションを受け、「二人の男女の画」を表現したそうです。
砂絵やペイントオングラスアニメーションなどの技法を駆使し、二人の記憶の中で美しく漂う思い出や景色を描き出しています。
反響と評価
「へび」は、
Billboard Japan Hot Animationで初登場10位を記録するなど、高い評価を得ています。音楽雑誌『
ROCKIN'ON JAPAN』では、ライターの杉浦美恵が、n-bunaの文学的な知識と、suisの歌声の表現力を絶賛しています。杉浦は、n-bunaの「知」の広がりと、suisが蛇の美しさ、慎ましさ、悲しさまでも表現する歌声に感嘆し、「この静かな抒情を表現する歌声はやはり唯一無二のもの」と評しました。
「へび」は、
ヨルシカの新たな代表曲として、多くの人々の心に響き続けています。知への探求、自然への畏敬、そして人間の感情を繊細に描き出したこの楽曲は、聴くたびに新たな発見がある奥深さを持っています。