ぼくの伯父さんの休暇

映画『ぼくの伯父さんの休暇』解説

『ぼくの伯父さんの休暇』（原題：Les Vacances de Monsieur Hulot）は、1953年に公開されたフランス映画です。コメディアンであり映画監督のジャック・タチが、自身の当たり役である「ユロ氏」を演じ、監督・脚本も手掛けた作品として知られています。

概要

物語は、ユロ氏が海辺の避暑地で休暇を過ごす様子を描いています。しかし、彼は行く先々で珍妙な騒動を巻き起こし、周囲の人々を困惑させたり、笑わせたりします。明確なストーリーラインは存在せず、一連のスケッチ・コメディ（ポートレイト・ムービー形式のコメディ）として構成されているのが特徴です。フランス映画らしいエスプリに富んだユーモアが散りばめられており、セリフに頼らない視覚的な表現や、独特なキャラクター描写が観客を魅了します。

原題を直訳すると「ユロ氏の休暇」となり、「伯父さん」という表現は含まれていません。邦題がこのようになったのは、後に公開されたタチ監督・主演の長編映画『ぼくの伯父さん』が、日本では先に公開されたためです。

受賞歴

1953年度 ルイ・デリュック賞
1953年度 カンヌ映画祭 国際批評家賞

1967年には、カナダの映画保存協会が世界40か国の批評家を対象に行ったアンケートで、「映画史上のコメディ・ベスト10」の第4位に選ばれるなど、高い評価を受けています。

小説版

映画の公開後には、小説版も出版されています。

『ぼくの伯父さんの休暇』（1958年に小説化）
ジャン＝クロード・カリエール文、ピエール・エテックス 絵
日本語版は小柳帝訳で、1995年にリブロポート、2004年に中央出版、2008年に中公文庫で再版
『ぼくの伯父さん』ジャック・タチ原案、小説版（姉妹編ではなく別作品）
ジャン＝クロード・カリエール文、ピエール・エテックス 絵・小柳帝訳、中央出版 2022

外部リンク

ぼくの伯父さんの休暇 - allcinema
ぼくの伯父さんの休暇 - KINENOTE
Les vacances de Monsieur Hulot - IMDb（英語）


『ぼくの伯父さんの休暇』は、言葉の壁を超えて楽しめる、普遍的な魅力を持ったコメディ映画です。ぜひ一度、ユロ氏の騒々しい休暇を体験してみてください。

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