ぼくらの社会科ノート

『ぼくらの社会科ノート』詳細解説

『ぼくらの社会科ノート』は、1973年4月10日から1982年3月15日までNHK教育テレビジョンで放送されていた、小学校3年生向けの社会科教育番組です。この番組は、子どもたちが自分たちの住む地域社会をより深く理解するための学習を支援することを目的としていました。

番組概要

小学校3年生の社会科では、自分たちが生活する市町村の様子をフィールドワークを通じて学習します。『ぼくらの社会科ノート』は、特定の市町村を舞台とし、子どもたちがどのように調査を行い、その結果をまとめるかを具体的に示すことを試みました。後続番組である「たんけんぼくのまち」と同様の手法を用いて、社会科の学習をより身近で実践的なものにすることを目指しました。

番組のオープニングテーマ曲は、チェリッシュが歌唱を担当し、作詞を柴田洋次郎、作曲を金子堅治郎が手がけました。この親しみやすい楽曲は、番組の明るく教育的な雰囲気を象徴していました。

放送時間と出演者

放送時間は日本標準時で、再放送も行われていました。番組には、三亜節朗、木下久子、加賀谷純一、飯島洋子、針谷雄平、坂本真澄など、多くの出演者が関わりました。各年度の舞台となる市町村ごとに異なる出演者も登場し、バラエティ豊かな内容を提供しました。例えば、銚子篇では加藤精三が「おじさん」役、三好由里子が「まり」役、沼津篇では加藤精三が再び「おじさん」役、古田千鶴が「おねえさん」役を務めました。

各年度の放送内容

1973年度（成田篇）: 初年度は、新東京国際空港（現在の成田国際空港）の開港を控えていた千葉県成田市が舞台でした。番組では、成田市の土地利用、産業、人々の生活を調査し、さらに地方行政の活動や郷土史についても紹介しました。夏休み前には、視聴者のフィールドワークを紹介する「おたよりありがとう」のコーナーが設けられました。

1974年度（清水篇）: 2年目からは静岡県清水市（現在の静岡市清水区）に舞台を移しました。清水港を擁するこの地域では、工業と水産業に焦点が当てられました。清水篇は毎年出演者とストーリーを刷新し、夏休み明けには「夏休み日記」という形で自由研究の例を紹介する回が放送されました。

1977年度（足利篇）: 栃木県足利市が舞台となったこの年度では、文部省が新しい学習指導要領を告示したことに伴い、学習内容が一部変更されました。足利篇では、フィールドワーク入門を重視し、商業分野に重点を置いた内容が放送されました。

1979年度（銚子篇）: 千葉県銚子市を舞台としたこの年度では、1980年度からの学校放送時間短縮に対応するため、2年目は設定を変えずに内容を新録しました。銚子市と比較する市町村として、千葉市、佐原市、成田市、和田町などが紹介されました。番組の舞台は、銚子市の商店街にある「かもめ放送局」という設定でした。

* 1981年度（沼津篇）: 最終年度は、静岡県沼津市が舞台となりました。沼津市というより規模の大きい都市を舞台に、産業や地勢を幅広く紹介しました。フィールドワーク入門を重視し、郷土史学習では身近な古民具から関心を広げていく構成で、まとめとして年表を紹介するなど、活動紹介がより充実していました。舞台は、沼津市にある「写真店ぬまづ」という設定でした。

スタッフと番組の現存状況

番組の脚本は山崎あきらが担当し、音楽は金子堅治郎が作曲しました。現在、NHKアーカイブスには、視聴者提供の1979・80年度版（銚子市篇）や、DVD「懐かしの教育テレビテーマソング集」にオープニングが収録された81年度版（沼津市篇）の一部が所蔵されています。

番組の意義

『ぼくらの社会科ノート』は、子どもたちが自分たちの地域社会を主体的に学ぶための手本を示す、画期的な教育番組でした。フィールドワークを通じて、子どもたちは地域の人々の生活や産業、歴史を深く理解し、社会に対する関心を高めることができました。この番組は、地域学習の重要性と実践的な学習方法を提示する上で、非常に大きな役割を果たしたと言えるでしょう。

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