めぐみの休日

麻丘めぐみのサード・スタジオ・アルバム『めぐみの休日』は、1973年5月25日にビクター音楽産業（現：ビクターエンタテインメント）よりリリースされました。規格品番はSJX-127です。

アルバムのコンセプト

本作は、アルバム全体を通して「一日の時間経過」をテーマにしたコンセプト・アルバムとして構成されています。収録曲は、1曲目の「朝のめざめ」で一日が始まり、最後の「グッド・ナイト・ママ」で締めくくられるという、ストーリー性を持った流れで展開されます。リスナーは、楽曲を通して麻丘めぐみと過ごす一日を追体験するかのような感覚を味わうことができます。

楽曲と制作背景

アルバムには、先行シングルとして発売されヒットした「森を駈ける恋人たち」とそのB面曲「そよ風のテラス」が収録されています。これらのシングル関連曲を除いた楽曲は、全てこのアルバムのために書き下ろされたオリジナル楽曲で構成されています。

作編曲は、当時の歌謡界で数々のヒット曲を手掛けていた筒美京平が中心となって担当しています。「そよ風のテラス」のみ作曲・編曲が高田弘ですが、それ以外の収録曲は筒美京平が作曲を手掛けており、アルバム全体のサウンドに一貫性をもたらしています。また、高田弘、矢野誠、穂口雄介といった実力派アレンジャー陣が、それぞれの楽曲に彩りを加えています。

収録曲の中から「ひとりの私」は、アルバム発売後まもなく発表され、麻丘めぐみの代表曲となった大ヒットシングル「わたしの彼は左きき」のB面としてリカットされ、改めて注目を集めました。

パッケージの特徴

当時のLP盤は、単にレコード盤とジャケットだけでなく、特別な封入物も特徴の一つでした。本作のLP盤には、見開き仕様の歌詞カードと共に、同じく見開きのポスターが封入されており、当時のファンにとって嬉しい特典となっていました。

再発売の歴史

『めぐみの休日』は、時代を超えて多くの音楽ファンに聴かれ続けています。初めてCD化されたのは1991年4月21日ですが、この際は単独ではなく、次作の『めぐみと若い仲間たち』（1973年8月25日発売）とカップリングされ、『定番コレクション2in One』としてリリースされました（規格品番：VICL-151、後に2002年にも再発 VSCD-3716）。

そして、麻丘めぐみの芸能生活50周年を迎えた2009年3月25日には、ファン待望の単独復刻が実現しました（規格品番：VICL-63259）。この2009年盤は、デジタルリマスタリングによる高音質化が施され、LP盤の質感を再現した紙ジャケット仕様で発売されました。さらに、特典として本人への新規インタビューも収録されています。

特に2009年の単独復刻盤は、ボーナス・トラックとして12曲が追加収録されている点が大きな特徴です。これには、1974年11月21日発売の『ベスト・コレクション'75』にのみ収録され、長らくCD化されていなかった貴重な音源が含まれています。また、当時のヒット曲のオリジナル・カラオケ音源も追加されました。

追加されたボーナストラックの中には、当時の人気楽曲のカヴァーが多く含まれています。例えば、布施明の「積木の部屋」、いしだあゆみの「ブルー・ライト・ヨコハマ」、井上陽水の「心もよう」、りりィの「私は泣いています」など、オリジナルアーティストも多様で、麻丘めぐみが幅広いジャンルの楽曲に挑戦していたことが分かります。また、カヴァー曲以外にも、麻生よう子の「逃避行」やアン・ルイスの「グッド・バイ・マイ・ラブ」なども収録されています。

アルバムのオリジナルパート最後の曲「グッド・ナイト・ママ」と、ボーナストラック最初の曲「積木の部屋」の間には、約10秒の無音時間が設けられており、オリジナルアルバムの世界観とボーナストラックを明確に区別する意図が感じられます。

このように、『めぐみの休日』は、当時のアイドルアルバムとしては珍しいコンセプトを持ち、質の高い楽曲と構成で、時代を超えて愛され続ける名盤の一つと言えるでしょう。

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