もうひとつの原宿物語

『もうひとつの原宿物語』

1990年10月27日に公開された日本映画『もうひとつの原宿物語』は、原宿のストリートダンスや歩行者天国（ホコテン）を舞台に、3人の女子高生の青春群像を描いた作品です。監督・脚本は石田芳子が務め、原宿という街の独特な文化を背景に、若者たちの悩みや友情、成長を繊細に描いています。

物語の背景

物語の舞台は、1990年代初頭の原宿。当時は、若者たちが自由に自己表現を行う場所として、ストリートダンスやファッションが注目を集めていました。特に、歩行者天国は若者文化の発信地として、多くの人々が集まり、活気に満ち溢れていました。この映画は、そんな時代背景の中で、それぞれの悩みを抱えながらも、自分らしく生きようとする少女たちの姿を描いています。

主要な登場人物

空木美想（演：薬師寺容子）：複雑な家庭環境で育った少女。内向的な性格だが、心の奥には強い意志を秘めています。彼女の心の葛藤が物語の軸の一つとなっています。
南沢珠実（演：藤村正美）：パソコン通信が趣味で、内気な性格の持ち主。美想の幼なじみであり、密かに優に想いを寄せています。彼女の視点から、物語が展開する場面もあります。
中川有里（演：樹本彩華）：明るく活発な性格で、3人の中ではムードメーカー的な存在です。彼女の行動が、物語に活気を与えます。
杉崎優（演：SAM）：美想、珠実、有里の幼なじみで、ダンスチーム「BC」のリーダー。両親の離婚を機に横浜へ引っ越しましたが、ダンスチームの一員として原宿に戻ってきます。彼が物語に新たな展開をもたらします。
その他の登場人物：
綾乃（鮎子の喫茶店のマスター）：渡辺梓
大和田（芸能プロ社長）：原田大二郎
空木鮎子（美想の元継母）：多岐川裕美
敏雄（美想の父）：夏木陽介
伍朗（優の父、居酒屋経営）：ハナ肇
珠実の父：マイケル河本
トマトの中年男：本田博太郎
ビデオ監督：小坂一也
カメラマン：小倉一郎
伍朗の近所の洋品店の親父：山田吾一
テレビレポーター：村上允俊
若い男：星野雄史
ダンスチーム「SC」リーダー：小沢和義


物語の展開

物語は、それぞれの家庭環境や悩みを抱える3人の女子高生たちが、原宿という街で出会い、友情を深めながら成長していく姿を描きます。ストリートダンスやホコテンでの交流を通して、彼女たちは自己表現の方法を見つけ、互いに支え合いながら困難を乗り越えていきます。また、幼なじみである優の存在が、彼女たちの関係に変化をもたらし、物語に奥行きを与えます。

スタッフ

企画・製作者：宮川和男
プロデューサー：玉川長太
監督・脚本：石田芳子
原作：空木景「もう一つの原宿物語」
音楽：カルマミルク・ウエノ、ペッピーナ・イケト
撮影：井上明夫
美術：丸尾知行
録音：清田和治
照明：前原信雄
編集：谷口登司夫
ダンス監修：勝本謙次
ダンス振り付け：SAM、吉田進
* 主題歌：薬師寺容子「原宿物語」


作品の特徴

この映画は、当時の原宿の若者文化をリアルに描き出し、ストリートダンスやファッションといった要素を通じて、若者たちのエネルギーや情熱を表現しています。また、女子高生たちの繊細な心情や友情を丁寧に描き出し、多くの観客の共感を呼びました。

『もうひとつの原宿物語』は、原宿という場所を舞台に、若者たちの青春模様を描いた作品であり、1990年代の若者文化を象徴する作品の一つとして、今もなお多くの人々に愛されています。

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