もたて山駅

もたて山駅：比叡山のふもと、静寂に佇む山間の駅

もたて山駅は、滋賀県大津市坂本本町に位置する比叡山鉄道比叡山鉄道線（坂本ケーブル）の駅です。坂本ケーブルの中間駅として、比叡山へのアクセスを担う重要な役割を担いつつ、ひっそりと静寂に包まれた山間の駅でもあります。

歴史と変遷：キャンプ場へのアクセスから比叡山への玄関口へ

もたて山駅は、1949年、裳立山遊園地駅として開業しました。駅周辺にはキャンプ場があり、そのアクセス拠点として利用されていました。このキャンプ場はその後閉鎖されましたが、駅はその後も、比叡山へのアクセスを希望する登山客や観光客を受け入れ続けることになります。1974年には、駅名を現在の「もたて山駅」へと改称。歴史の重みを感じさせる駅名とともに、比叡山への旅の始まりを告げる存在として、その役割を今も続けています。

駅舎と構造：簡素ながらも趣のある山岳駅

駅舎は簡素な造りで、駅員は配置されていません。ホームは板張りのシンプルな構造で、南側に設置されています。ホームは階段状ではなく、板に滑り止めの横材が打ち付けられており、急勾配の線路に合わせた設計となっています。小さな上屋とベンチが設置されているのみで、トイレなどの設備はありません。乗車には、駅に設置されたインターホンを使ってケーブルカーの停車を要請する必要があります。この簡素な構造こそが、もたて山駅の独特の雰囲気を作り出していると言えるでしょう。

周辺の見どころ：歴史と自然が融合する魅力的なスポット

もたて山駅から徒歩圏内には、歴史と自然を満喫できる数々のスポットがあります。駅周辺は、ハイキングコースの起点にもなっており、自然豊かな環境の中で、ゆったりとした時間を過ごすことができます。

紀貫之墓: 駅から徒歩約10分。平安時代の歌人、紀貫之の墓所です。道標も整備されているため、比較的容易に訪れることができます。
裳立山之碑: 紀貫之を記念して1912年に建てられた碑。紀貫之墓に隣接しており、歴史を感じさせる静謐な空間です。
もたて山見晴台: 駅から徒歩約5分。紀貫之墓への途中にある展望台で、素晴らしい眺望を楽しむことができます。
ペツォルト夫妻供養塔: ドイツ出身の仏教研究家ブルーノ・ペツォルトと、妻であるノルウェー出身の音楽家ハンカ・シェルデルップ・ペツォルトを供養する塔。国際的な交流の歴史を偲ばせる、静かな佇まいの供養塔です。

アクセスと周辺情報：比叡山へのアクセス拠点

もたて山駅は、比叡山へのアクセス拠点として機能しています。隣の駅であるケーブル延暦寺駅までは非常に近く、駅入口付近からはケーブル延暦寺駅のホーム上屋の一部を見ることができます。比叡山延暦寺への観光だけでなく、周辺の自然や歴史的なスポットを訪れる際にも便利な駅です。

まとめ：静寂と自然に包まれた、比叡山への玄関口

もたて山駅は、簡素ながらも歴史を感じさせる山間の駅です。周辺には、歴史的な史跡や自然豊かなハイキングコースがあり、比叡山観光の拠点として、また、自然の中で静寂なひとときを過ごしたい方にとっても魅力的な場所となっています。比叡山への旅の際には、ぜひ一度訪れてみてください。

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