やくざの横顔

『やくざの横顔』

『やくざの横顔』（やくざのよこがお）は、1970年1月24日に封切られた日本の劇映画です。製作および配給は日活が手掛け、監督は小澤啓一、主演は当時の日活アクションを牽引していた渡哲也が務めました。ハードボイルドな世界観の中で、一人の男の復讐と愛憎を描く作品です。

物語（あらすじ）

物語の主人公は、本堂哲平という青年です。彼は、敬愛する兄の仇である新和組の幹部を討ち果たしますが、その代償として父親から勘当され、故郷を離れざるを得なくなります。行くあてのない流れ者となった哲平は、堀田と黒木という二人の人物の手引きによって、遠く離れた港町・横浜へと身を寄せます。そこで彼をかくまったのは、早崎組という組織でした。横浜で新たな生活を始める哲平は、りつ子という魅力的な女性と運命的に出会い、やがて二人は深く惹かれ合い、恋に落ちます。

しかし、りつ子には哲平の知らない裏の顔がありました。彼女は、哲平が仇討ちした新和組に雇われた冷酷な殺し屋、山田銀造の情婦だったのです。愛する女性が、自らの過去と深く関わる男の情婦であったという事実は、哲平に大きな衝撃を与えます。りつ子を巡る愛と、新和組との因縁、そして山田銀造との対決へと、哲平は否応なしに引きずり込まれていきます。横浜を舞台に、哲平の復讐は新たな局面を迎え、愛する者との関係にも影が差すことになります。過去の清算と、目の前の愛、そして迫りくる危険の中で、哲平は苛烈な運命に立ち向かうことになります。

出演

本作を彩るキャスト陣は以下の通りです。

本堂哲平：渡哲也
りつ子：香山美子（松竹）
山田銀造：内田良平
不知火の政：今井健二
佐川：青木義朗
恭子：丘みつ子
礼子：麻生れい子
堀田：植村謙二郎
貞夫：沖雅也
園村：大滝秀治
早崎大次：福山象三（福山升三）
黒人の男：チコ・ローランド
世志子：富永美沙子
竹田：木島一郎
八代康二（八代康次）
礼子の友人：杉山元、長浜鉄平
新和組組長：久遠利三
中国人の老婆：鈴村益代
黒人男の愛人：久本有紀
本堂陽一：野村隆
早崎の子分：市村博
佐川の配下：晴海勇三、大浜詩郎
本目雅昭
早崎の子分：高橋明
ホテルのフロント係：菊田一郎
船員手帳を受け取る男：伊豆見英輔
早崎組の作業員：荒井岩衛
早崎組組員：熱海弘到
早崎組兄貴分：岩手征四郎
新和組幹部：中平哲仟
新和組組員：小島克巳
早崎の子分：谷口芳昭
榊功
早崎の子分：前田武彦（大前田武）
船員手帳を受け取る男：小林亘
田畑善彦
海員ホテルの客：大谷木洋子
ホテルのボーイ：浜口竜哉
青木敏夫
八木修一
渡辺修
礼子の友人：山田信子、渕の上由子
銀蔵から伝言を渡す少年：山内豊彦
擬斗：渡井嘉久雄（渡井嘉夫）
本堂太平：中村竹弥
黒木勇次：宍戸錠

主演の渡哲也が、兄の仇討ちから追われる身となり、横浜で愛と裏切りに直面する主人公・本堂哲平を演じています。ヒロインのりつ子役には松竹から香山美子が出演し、哲平の運命を翻弄する山田銀造役を内田良平が演じました。また、物語の鍵を握る人物の一人、黒木勇次を宍戸錠が演じるなど、日活アクションでお馴染みの面々が脇を固めています。中村竹弥が主人公の父親役で出演しているのも注目です。

スタッフ

本作を制作した主なスタッフは以下の通りです。

監督：小澤啓一
脚本：中西隆三
企画：園田郁毅
企画：川内康範
* 音楽：真鍋理一郎

監督は、数々の日活アクションを手掛けた小澤啓一が務めました。脚本は中西隆三、企画には原作となる川内康範の小説『赤い夕陽』（『週刊サンケイ』連載）がクレジットされています。音楽は真鍋理一郎が担当し、作品の世界観を彩っています。

本作は、日活がアクション路線を推し進めていた時期に製作された作品であり、渡哲也主演による骨太なドラマとアクションが展開されます。兄の敵討ちという普遍的なテーマに、新しい土地での人間関係、そして愛と裏切りという要素が加わり、主人公の苦悩と葛藤が深く描かれています。横浜という異国情緒漂う港町を舞台に、ハードボイルドな雰囲気を持ちつつ、登場人物たちの情感にも焦点を当てた作品と言えるでしょう。

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