やまびこ号 (特急バス)

九州を横断する特急バス「やまびこ号」：歴史と現状

「やまびこ号」は、九州産交バスと大分バスが共同運行する、熊本県熊本市と大分県大分市を結ぶ特急バス路線です。阿蘇の雄大な山々を想起させる愛称が付けられています。本記事では、1967年の運行開始以来の「やまびこ号」の歴史、2016年の熊本地震による影響、そして2019年に運行を開始した補完路線「熊本ー阿蘇線」について詳細に解説します。

1. 誕生から発展：半世紀を超える歴史

1967年12月20日、熊本と大分を結ぶ路線として「やまびこ号」は誕生しました。当初は1日2往復の運行で、所要時間は4時間15分でした。その後、運行本数は増加し、所要時間も短縮されていきます。1972年にはワンマン化され、大分側の終点も鶴崎から大分へと延長されました。1989年には、29人乗りの3列シート車両を導入し、座席指定制となりました。経路変更も複数回行われ、阿蘇地域や大分市内における道路事情の変化に対応してきました。

1990年代には、九州北部を襲った集中豪雨や豊肥本線の不通により、運行に影響が出たものの、利用客増加を受け運行本数を増やしました。また、競合するJRの特急列車の格上げにも対応し、経路変更や時刻調整を繰り返しながら、長年にわたって熊本と大分を結ぶ重要な交通手段として機能してきました。

2. 熊本地震と運行への影響

2016年の熊本地震は、「やまびこ号」にも大きな影響を与えました。地震直後、全便が運休となり、阿蘇地域の道路被害により、運行再開までには時間がかかりました。同年4月26日、減便での運行を再開し、ミルクロードを経由する迂回運行を実施しました。地震後も、経路変更やダイヤ改正を繰り返しながら、阿蘇地域の復興に貢献してきました。

3. 補完路線「熊本ー阿蘇線」

熊本地震によるJR豊肥本線の不通や国道57号の寸断を受け、熊本と阿蘇を結ぶ交通手段の確保が課題となりました。この状況を受けて、2019年4月1日、「やまびこ号」の補完路線として「熊本ー阿蘇線（Aso-go）」が開設されました。1日1往復の運行で、熊本市街地から阿蘇市までを結んでいました。しかし、2020年10月12日、JR豊肥本線と国道57号の復旧に伴い、「熊本ー阿蘇線」は運行を終了しました。

4. 運行経路と停車停留所

「やまびこ号」は、熊本駅前を出発し、阿蘇くまもと空港、大津駅、阿蘇市内、竹田、犬飼、大分市内を経由して、大分県庁正門前に到着します。途中、道の駅すごうで30分間の休憩があります。2021年4月1日のダイヤ改正により、一部経路が変更され、停車停留所も変更されました。現在も、経路や停車停留所は変更される可能性があり、最新の情報を確認することが重要です。

5. 車両と設備

「やまびこ号」に使用される車両は、九州産交バスと大分バスで異なります。両社ともハイデッカー車両を使用しており、シートは4列シートが中心です。大分バスの車両にはトイレが設置されているものもあります。座席コンセントの有無は車両によって異なります。かつては車内サービスも提供されていましたが、現在はコスト削減のため廃止されています。熊本地震後は、九州産交バスではトイレのない車両が使用されることが多くなっています。

6. 料金と乗車方法

「やまびこ号」の料金は、乗車区間によって異なります。車内精算となっています。以前は座席指定制でしたが、現在は全席自由席定員制です。乗車券は両社の営業所窓口、自動券売機で購入できます。SUNQパスや交通系ICカードも利用できます。2023年11月30日からは、九州産交バス便においてクレジットカードによるタッチ決済が導入されました。

7. まとめ

「やまびこ号」は、長年にわたって熊本と大分を結ぶ重要な交通手段として、人々の生活や観光に貢献してきました。熊本地震などの困難を乗り越え、現在も運行を続けています。本記事では、その歴史と現状を詳細に解説しました。最新の運行情報については、各運行会社のウェブサイト等で確認することをお勧めします。

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