ゆめテラス祇園
広島市安佐南区西原に所在する「ゆめテラス祇園」は、株式会社イズミが推進する新しい商業施設ブランド「ゆめテラス」の第一号店として誕生したショッピングセンターです。2023年6月1日に食品館が先行して営業を開始し、同年11月1日に全面的な開業を迎えました。
この施設は、イズミの歴史において重要な位置を占める店舗の建て替えにより実現しました。その前身は、長年にわたり広島地区の基幹店舗として機能した「ゆめタウン祇園」であり、さらに遡ると「イズミ祇園ショッピングセンター」、そして開業当初の名称である「いづみ祇園ショッピングセンター」にたどり着きます。
「いづみ祇園ショッピングセンター」は、イズミにとって初の郊外型店舗という画期的な試みでした。1971年10月にその計画が公表された当時、アメリカで流行し始めていた郊外型ショッピングセンターのスタイルを導入し、モータリゼーションの進展に対応するため、広島市中心部から離れた国道54号沿いに立地が選ばれました。これは中国・四国地方初の郊外型大規模商業施設であり、日本国内でも玉川高島屋ショッピングセンターに次ぐ規模を誇る、当時としては非常に稀な存在でした。
計画当初は地上4階地下1階建てのショッピングセンターにボウリング場を併設する構想があり、約5,300平方メートルの直営売場と約4,000平方メートルのテナント区画を設ける予定でした。地元の広島本通商店街から約100店舗、東京・大阪から7～8店舗の誘致を目指し、さらに24時間営業のレストラン棟、遊園地、プール、託児所といった多機能複合施設として描かれていました。仮称は「祇園コミュニティセンター」、事業費は約16億5000万円が見込まれ、1972年1月着工、同年10月開店を目指していました。
1972年5月20日の起工式では、正式名称が「いづみ祇園ショッピングセンター」に決定。この時点での計画は地上5階建てSCと地上3階建て40レーンのボウリング場、駐車場500台収容へと変更され、開業は同年12月とされました。しかし、建設が進む中で、アメリカ視察から帰国した当時の社長がボウリングブームの終焉を予見。将来的なリスクを回避するため、既に機材を発注済みだったにも関わらず、違約金を支払ってボウリング場の併設を中止するという決断が下されました。これにより設計変更が行われ、最終的には3階建てと4階建ての2棟構成となり、テナント数は68店舗、無料駐車場は275台分となりました。最終的な事業費は約24億円に増加しました。
1973年3月27日午前10時、いづみ祇園ショッピングセンターは部分開業を果たします。食料品、日用品、家電製品、そして食堂街を備えた「ファミリーランド」（B・C館、地上3階建、売場面積4,165平方メートル）がまずオープンしました。当時としては大規模な250台分の無料駐車場は大きな注目を集め、開店日には駐車場待ちの車の行列ができるほどの盛況ぶりで、約4万人が来店したと記録されています。同年5月2日午前10時には、衣料品などを扱う「ファッションランド」（A館、地上4階建、売場面積2,479平方メートル）が開業し、これにより店舗面積は約2倍となり、全館が開業しました。「1店舗で生活に必要なものがすべて揃う」という「ワンストップ・オールライフ」のコンセプトが掲げられました。開業当初、A館とB・C館は道路で隔てられていましたが、1980年12月には両棟を結ぶ連絡橋が完成し、回遊性が向上しました。
いづみ祇園ショッピングセンターは開業当初から大きな成功を収めました。来店客の平均滞在時間は従来の店舗の約50分から2時間へと大幅に伸び、マイカー利用客が週に一度まとめ買いをするスタイルが定着したことで、一人あたりの売上も当時のイズミの平均700～800円に対し、2,400～2,500円と驚異的に増加しました。この成功を受け、年間売上目標も当初の30億円から41億円に上方修正されました。その集客力は周辺地域に影響を与え、開業から夏頃までには駐車場を160台増強したものの、交通渋滞は避けられず、休日には店の前に500～600メートルの入場待ちの列ができる事態となり、地元警察署から出入り口の拡張や河川敷の活用などの指導が入るほどでした。いづみ祇園の成功は、広島市クラスの都市でも郊外型ショッピングセンターが成立し、大きな商業核となりうることを実証し、その後の五日市町などでの同様の施設開発に影響を与えました。
その後、施設は時代の変化に合わせて増床や改装を重ねていきます。1975年3月7日には8億円をかけた増床工事を実施し、ファミリーランド（B・C館）を4階建てに増築。これにより売場面積は約11,000平方メートルまで拡大し、増床分は主に衣料品売場の強化に充てられました。売場の構成も変更され、ファッションランドは「リビングランド」と改称されました。1980年6月13日には大規模な改装（大活性化工事）を実施し、施設の若返りを図るリニューアルオープン。売場の大部分が刷新され、下りエスカレーターも新設されました。同月27日には全店一斉のブランド変更が行われ、「イズミ祇園ショッピングセンター」にリブランドされました。さらに2001年3月9日には、広島地区では初めて「ゆめタウン」の名称を冠する店舗として「ゆめタウン祇園」にリブランド。1億4000万円をかけた改装で、食料品売場の強化や医薬品コーナーの新設などが行われ、広島地区の基幹店舗としての地位を改めて確立しました。
一方、リビング館（旧ファッションランド）は2011年春に閉鎖され、同年夏には解体。跡地にはマンションが建設されました。建物全体の老朽化が進む中で、2017年2月3日に公表された広島県の耐震性能調査で震度6強以上での倒壊・崩壊の危険性が指摘されていたこともあり、2020年11月24日に施設の建て替えが正式に発表されました。建て替え準備のため、2021年1月末をもって3・4階フロアと立体駐車場が閉鎖され、残りの1・2階フロアは仮店舗での営業開始まで継続されました。2021年11月23日に「ゆめタウン祇園」としての営業を終え、一週間の休業後、12月1日からは立体駐車場跡地に建設された仮店舗での営業を開始。そして新しい本館の建設が進められ、2023年6月1日に「ゆめテラス祇園」として食品館が先行オープン。同年11月1日に全館開業を迎え、イズミ初の郊外店として始まったこの場所は、新しい商業施設として再び地域に根差すこととなりました。
交通アクセスは、JR可部線の下祇園駅より徒歩約6分、広島電鉄または広島交通バスの祇園出張所前バス停より徒歩約2分と、公共交通機関での利便性も確保されています。
開業当初や増床・改装時には、食料品、日用品、衣料品、家具、家電、雑貨など、生活全般に関わる商品を扱うフロアに加え、食堂街、音楽教室、遊園地など、多様なニーズに応えるための施設構成となっていました。これらのフロア構成は、時代の変化や消費者のニーズに合わせて何度も見直しが行われ、地域の商業中心としての役割を果たしてきました。
この施設は、イズミの歴史において重要な位置を占める店舗の建て替えにより実現しました。その前身は、長年にわたり広島地区の基幹店舗として機能した「ゆめタウン祇園」であり、さらに遡ると「イズミ祇園ショッピングセンター」、そして開業当初の名称である「いづみ祇園ショッピングセンター」にたどり着きます。
「いづみ祇園ショッピングセンター」は、イズミにとって初の郊外型店舗という画期的な試みでした。1971年10月にその計画が公表された当時、アメリカで流行し始めていた郊外型ショッピングセンターのスタイルを導入し、モータリゼーションの進展に対応するため、広島市中心部から離れた国道54号沿いに立地が選ばれました。これは中国・四国地方初の郊外型大規模商業施設であり、日本国内でも玉川高島屋ショッピングセンターに次ぐ規模を誇る、当時としては非常に稀な存在でした。
計画当初は地上4階地下1階建てのショッピングセンターにボウリング場を併設する構想があり、約5,300平方メートルの直営売場と約4,000平方メートルのテナント区画を設ける予定でした。地元の広島本通商店街から約100店舗、東京・大阪から7～8店舗の誘致を目指し、さらに24時間営業のレストラン棟、遊園地、プール、託児所といった多機能複合施設として描かれていました。仮称は「祇園コミュニティセンター」、事業費は約16億5000万円が見込まれ、1972年1月着工、同年10月開店を目指していました。
1972年5月20日の起工式では、正式名称が「いづみ祇園ショッピングセンター」に決定。この時点での計画は地上5階建てSCと地上3階建て40レーンのボウリング場、駐車場500台収容へと変更され、開業は同年12月とされました。しかし、建設が進む中で、アメリカ視察から帰国した当時の社長がボウリングブームの終焉を予見。将来的なリスクを回避するため、既に機材を発注済みだったにも関わらず、違約金を支払ってボウリング場の併設を中止するという決断が下されました。これにより設計変更が行われ、最終的には3階建てと4階建ての2棟構成となり、テナント数は68店舗、無料駐車場は275台分となりました。最終的な事業費は約24億円に増加しました。
1973年3月27日午前10時、いづみ祇園ショッピングセンターは部分開業を果たします。食料品、日用品、家電製品、そして食堂街を備えた「ファミリーランド」（B・C館、地上3階建、売場面積4,165平方メートル）がまずオープンしました。当時としては大規模な250台分の無料駐車場は大きな注目を集め、開店日には駐車場待ちの車の行列ができるほどの盛況ぶりで、約4万人が来店したと記録されています。同年5月2日午前10時には、衣料品などを扱う「ファッションランド」（A館、地上4階建、売場面積2,479平方メートル）が開業し、これにより店舗面積は約2倍となり、全館が開業しました。「1店舗で生活に必要なものがすべて揃う」という「ワンストップ・オールライフ」のコンセプトが掲げられました。開業当初、A館とB・C館は道路で隔てられていましたが、1980年12月には両棟を結ぶ連絡橋が完成し、回遊性が向上しました。
いづみ祇園ショッピングセンターは開業当初から大きな成功を収めました。来店客の平均滞在時間は従来の店舗の約50分から2時間へと大幅に伸び、マイカー利用客が週に一度まとめ買いをするスタイルが定着したことで、一人あたりの売上も当時のイズミの平均700～800円に対し、2,400～2,500円と驚異的に増加しました。この成功を受け、年間売上目標も当初の30億円から41億円に上方修正されました。その集客力は周辺地域に影響を与え、開業から夏頃までには駐車場を160台増強したものの、交通渋滞は避けられず、休日には店の前に500～600メートルの入場待ちの列ができる事態となり、地元警察署から出入り口の拡張や河川敷の活用などの指導が入るほどでした。いづみ祇園の成功は、広島市クラスの都市でも郊外型ショッピングセンターが成立し、大きな商業核となりうることを実証し、その後の五日市町などでの同様の施設開発に影響を与えました。
その後、施設は時代の変化に合わせて増床や改装を重ねていきます。1975年3月7日には8億円をかけた増床工事を実施し、ファミリーランド（B・C館）を4階建てに増築。これにより売場面積は約11,000平方メートルまで拡大し、増床分は主に衣料品売場の強化に充てられました。売場の構成も変更され、ファッションランドは「リビングランド」と改称されました。1980年6月13日には大規模な改装（大活性化工事）を実施し、施設の若返りを図るリニューアルオープン。売場の大部分が刷新され、下りエスカレーターも新設されました。同月27日には全店一斉のブランド変更が行われ、「イズミ祇園ショッピングセンター」にリブランドされました。さらに2001年3月9日には、広島地区では初めて「ゆめタウン」の名称を冠する店舗として「ゆめタウン祇園」にリブランド。1億4000万円をかけた改装で、食料品売場の強化や医薬品コーナーの新設などが行われ、広島地区の基幹店舗としての地位を改めて確立しました。
一方、リビング館（旧ファッションランド）は2011年春に閉鎖され、同年夏には解体。跡地にはマンションが建設されました。建物全体の老朽化が進む中で、2017年2月3日に公表された広島県の耐震性能調査で震度6強以上での倒壊・崩壊の危険性が指摘されていたこともあり、2020年11月24日に施設の建て替えが正式に発表されました。建て替え準備のため、2021年1月末をもって3・4階フロアと立体駐車場が閉鎖され、残りの1・2階フロアは仮店舗での営業開始まで継続されました。2021年11月23日に「ゆめタウン祇園」としての営業を終え、一週間の休業後、12月1日からは立体駐車場跡地に建設された仮店舗での営業を開始。そして新しい本館の建設が進められ、2023年6月1日に「ゆめテラス祇園」として食品館が先行オープン。同年11月1日に全館開業を迎え、イズミ初の郊外店として始まったこの場所は、新しい商業施設として再び地域に根差すこととなりました。
交通アクセスは、JR可部線の下祇園駅より徒歩約6分、広島電鉄または広島交通バスの祇園出張所前バス停より徒歩約2分と、公共交通機関での利便性も確保されています。
開業当初や増床・改装時には、食料品、日用品、衣料品、家具、家電、雑貨など、生活全般に関わる商品を扱うフロアに加え、食堂街、音楽教室、遊園地など、多様なニーズに応えるための施設構成となっていました。これらのフロア構成は、時代の変化や消費者のニーズに合わせて何度も見直しが行われ、地域の商業中心としての役割を果たしてきました。
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