ゆり2号a

ゆり2号a（BS-2a）

ゆり2号a（略称BS-2a）は、1984年に宇宙開発事業団（NASDA）が打ち上げた日本の静止放送衛星です。この衛星は、テレビ放送の難視聴地域を解消し、衛星テレビ放送とその技術の発展を目指して開発されました。

打ち上げの詳細

ゆり2号aは1984年1月23日、種子島宇宙センターからN-IIロケット5号機によって打ち上げられました。これは日本における衛星放送の重要な一歩となり、後の衛星通信技術の基盤を築く役割を果たしました。

目指した目的

この衛星の主な目的は、テレビの放送が受信しにくい地域、つまり難視聴地域での視聴環境の改善です。また、衛星テレビ放送技術の開発が進められ、将来の放送インフラ整備に寄与することを狙っていました。

特徴と軌道

ゆり2号aは、静止衛星軌道に位置しており、その静止位置は東経110度です。静止衛星は、地球の自転に合わせて常に同じ地点の上空に留まることができるため、特にテレビ放送に適しています。

トラブルと対応

打ち上げ直後に、衛星の放送を行うための太陽電池の一部に故障が発生しました。これにより、1984年5月に開始予定だった試験放送が変更を余儀なくされました。当初は、山間部や離島を対象とした難視聴対策としての放送が計画されていましたが、衛星のトラブルの影響で放送チャンネルの変更が必要になりました。

変更された放送計画

• - 当初計画

- BS-11ch: NHK衛星第1テレビジョン（NHK総合テレビジョンの地上波同時・または時差編成）
- BS-15ch: NHK衛星第2テレビジョン（NHK教育テレビジョンの地上波同時・または時差編成）

• - 実際の放送

- BS-15ch: NHK衛星第1テレビジョン（総合・教育の混合編成）

これに伴い、衛星第1テレビのチャンネル番号が変更され、衛星第2テレビの開局は延期されました。その後、1986年に打ち上げられたゆり2号bによって、衛星第2テレビがBS-11chを利用して放送を開始することとなりました。

まとめ

ゆり2号aは、日本の衛星放送の発展に重要な役割を果たした衛星であり、技術的なトラブルに対しても迅速に対応し、何度も計画を修正しながら放送を行いました。その後の衛星通信技術の発展にも寄与することとなったのです。ゆり2号aは、日本における宇宙開発と衛星放送の歴史の中で、忘れてはならない存在となっています。

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