ろ座

ろ座 (Fornax)

ろ座は、現代の88星座のひとつで、18世紀半ばにフランスの天文学者ニコラ＝ルイ・ド・ラカイユによって創設されました。この星座は蒸留に用いる炉をモチーフとしており、その名称もフランス語で「炉」を意味する「le Fourneau」が由来です。目立つ星は少なく、特に明るい星がないため、多くの人々によって見過ごされがちですが、実際には国内のどの地域からでも全貌を見ることが可能です。

主な天体

ろ座はエリダヌス座に囲まれるように位置しており、広い面積の中にいくつかの恒星と星団、銀河があります。これらの中でも最も明るい恒星は、見かけの明るさが4等級のアルファ星であり、連星系として「ダリム」と呼ばれるA星と、7.19等級のB星が存在しています。その他の恒星としては、明るさ9.93等級のHD 20868があり、これはマレーシアに命名権が与えられ、「Intan」という名前が付けられています。さらに、見かけの明るさ10.96等級のWASP-72も存在し、モーリシャス共和国に由来する名前が付けられました。これらの星は全体的に明るさが控えめですが、ろ座に特有の特徴を示しています。

銀河や星団

ろ座には、「ろ座銀河団（Fornax Cluster）」と称する銀河団が存在し、その中心には楕円銀河NGC 1399がいます。この地域には、棒渦巻銀河のNGC 1097や、ろ座銀河団に所属するNGC 1365、NGC 1316といった多様な銀河も見受けられます。特にNGC 1097は、約5600万光年の距離に位置し、その中心には超大質量ブラックホールが存在する活動銀河核があることが注目されています。また、ろ座矮小銀河は、天の川銀河の伴銀河として知られています。

歴史と由来

ろ座は、ラカイユが描いた星図に初めて登場し、その後も様々な名前に変更されながらも、最終的には「Fornax」という呼称が定着しました。この星座は新しい星座であり、古代の神話や伝承は伴っていませんが、宇宙探査や観測の面での重要性が増しています。特に、銀河南極に近く、天の川から離れているため、遠くの銀河を観測するには適した場所とされています。ハッブル望遠鏡による観測プロジェクトである「ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド（HUDF）」も、ろ座に位置する領域で行われています。

世界各地の呼称

歴史上、ろ座は様々な名前で呼ばれてきました。日本では初めて「舎密爐」と訳され、その後「ろ」と簡略化されました。現代の中国では「天炉座」と呼ばれ、その名称に対する理解が深まっています。また、日本天文学会の規定により、現在の学名は正式に「ろ」へと統一され、広く受け入れられています。

ろ座は、その独特の位置と暗さによって特別な観測条件を提供し、遠くの宇宙を観察するために利用されています。天文学者たちにとって、ろ座は重要な研究対象であり続けています。

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