ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド

ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド（HUDF）

ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド（Hubble Ultra Deep Field、HUDF）は、宇宙望遠鏡科学研究所がハッブル宇宙望遠鏡を用いて行った、宇宙の非常に遠い領域の探査プロジェクトです。これは、1995年のハッブル深宇宙探査、1998年のハッブル南天深宇宙探査に続く、深宇宙探査計画の重要な一環として実施されました。

この探査の大きな目的の一つは、2003年の改修でハッブル宇宙望遠鏡に取り付けられた高性能な微光天体カメラの性能を試験することでした。天文学者たちはこのカメラに大きな期待を寄せており、その性能を最大限に引き出すために、HUDFが選ばれました。

観測内容と結果

探査領域は、ろ座のわずか1度ほどの範囲に絞られました。この領域に対し、微光天体カメラと赤外線カメラを駆使して、2003年9月24日から2004年1月16日にかけて観測が行われました。実際の観測日数は11.5日でした。

この観測によって得られた画像は、天文学者たちに驚きと感動をもたらしました。なんと、赤方偏移 z = 3（約117億光年）以上を示す銀河が1万個以上も映し出されていたのです。さらに驚くべきことに、z = 6 から 7（約128.9億光年から約130.6億光年）という、さらに遠い銀河も捉えられました。これらの銀河は、宇宙が誕生してから間もない頃に存在していたものであり、宇宙の進化を研究する上で非常に貴重な情報を提供してくれます。

画像には、通常の渦巻銀河や楕円銀河だけでなく、様々な奇妙な形をした銀河も写っていました。これらの奇妙な銀河は、宇宙初期の銀河同士の衝突や合体の過程を反映していると考えられています。また、HUDF で発見された赤色矮星UDF 2457は 59,000光年の距離があり、これは直径が8万-10万光年とされる銀河系内で観測された最も遠い星である可能性があります。

HUDFの観測によって、宇宙初期の混沌とした状態の中で、銀河同士が互いに影響を及ぼしあっている様子を目の当たりにすることができました。これは、銀河がどのように形成され、進化してきたのかを理解するための重要な手がかりとなります。

HUDFの意義

ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドの観測は、宇宙論と銀河形成の研究に革命をもたらしました。この探査によって、私たちは宇宙の歴史をより深く理解し、宇宙の謎に迫ることができるようになったのです。HUDFは、天文学の歴史における重要なマイルストーンの一つとして、今後も長く語り継がれることでしょう。

関連項目

UDFj-39546284
ハッブル・エクストリーム・ディープ・フィールド
ハッブル・ディープ・フィールド
ハッブル・ディープ・フィールド・サウス

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