わんぱく天使 (NHKのテレビドラマ)

わんぱく天使

1971年10月5日から1973年3月13日までの期間、毎週火曜日の午後6時20分にNHK総合テレビで放送された『わんぱく天使』は、子供たちに愛されたテレビドラマシリーズです。この作品はNHK名古屋放送局が制作を手がけ、アメリカの著名な児童文学作家、ビバリー・クリアリーの著書「ゆかいなヘンリーくん」を原作としています。物語の核となるのは、天真爛漫で好奇心旺盛な一人の少年と、彼の新たな家族となった一匹の個性豊かな犬。このコンビが日々の生活の中で巻き起こす様々な出来事が、温かい眼差しで描かれています。

あらすじ

物語の舞台は、名古屋のどこにでもあるような穏やかな住宅街。ここに暮らす主人公は、小学4年生の少年、純平です。明るく活発で、困っている人や動物を見過ごせない心優しい性格の持ち主です。ある日の夕方、スイミングスクールの帰り道、純平は一匹の痩せた野良犬に出会います。その犬は体つきが細く、肋骨が浮き出ているほどでしたが、純平がそっと近づくと、人懐っこく純平の足元に寄り添ってきました。

その哀れな姿に心を動かされた純平は、どうしてもこの犬を見捨てることができず、家に連れて帰ることを決意します。しかし、もちろん家族の許可が必要です。純平は両親に、犬を飼わせてほしいと真剣に頼み込みます。当初、両親は少し戸惑いましたが、純平が「この子の世話は全部僕が一人で責任を持ってする」と固く約束したことで、ついに飼うことを許してくれました。純平は、この野良犬の浮き出た肋骨を見て、「アバラ骨がごつごつしているから」というユニークな理由で「アバラー」と名付けます。こうして純平一家の一員となったアバラーでしたが、彼は予想外の性格の持ち主でした。

家に入った途端、アバラーは隠し持っていたいたずら好きな本性を現し始めます。靴下を隠したり、家具をかじったり、時には近所を巻き込むような騒動を引き起こしたりと、その行動は予測不能で、純平や家族はアバラーの巻き起こす珍事件に毎日振り回されます。しかし、こうした騒動を通して、純平とアバラー、そして家族の間の絆は深まっていきます。各エピソードは、アバラーの引き起こすコミカルな騒動を中心に、純平の成長、友人たちとの友情、そして家族の温かさが描かれ、視聴者に笑いと感動を届けました。

登場人物とキャスト

本作の主要な登場人物を演じたのは、当時の実力派俳優や子役たちです。

純平: 物語の主人公である小学4年生。明るく元気で優しい少年。演じたのは小早川佳樹。
ちず子: 純平の親しい友人。演じたのは沢田久美。
父: 純平を温かく見守る父親。演じたのは山本耕一。
母: 純平の母親。優しさの中に厳しさも持つ。演じたのは姫ゆり子。

その他、小野道之、伊藤友乃、藤田康夫、羽藤聖加といった俳優陣が出演し、物語の世界観を豊かにしました。

主題歌

『わんぱく天使』の主題歌は、当時活躍していたフォークシンガー、本田路津子さんが歌唱しました。明るく希望に満ちたメロディーと、子供たちの冒険心をくすぐるような歌詞は、番組のオープニングを飾り、多くの視聴者に口ずさまれました。特にNHK名古屋放送局では、番組に寄せられた視聴者からの感想やおたよりに対して、この主題歌の歌詞と楽譜をプレゼントするという企画が実施されていた時期があり、ファンにとっては大変喜ばれるサービスでした。

『わんぱく天使』は、少年と動物の絆、そして家族や友人との関わりを通して、成長の喜びや小さな命の大切さを描いた作品です。アバラーの起こす騒動にハラハラしながらも、純平たちの日常に心が温まる、そんな魅力を持ったドラマでした。放送から長い年月が経ちましたが、その物語は今も多くの人々の記憶に残っています。

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