アイ'ム ホーム

『アイ’ム ホーム』

『アイ’ム ホーム』は、日本の漫画家・石坂啓による作品で、1997年から1998年にかけて「ビッグコミックオリジナル」（小学館）に連載されました。また、1999年には文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で大賞を受賞しています。コミックは1999年2月に上下巻として発売され、その後、2004年と2015年の二度にわたりテレビドラマとしても放映されました。 

タイトルの由来

本作のタイトル「アイ’ム ホーム」は、作者がギリシャのホテル滞在中に見たパンフレットの「アイムホームと言って戻ってもらえるような部屋をめざして……」というフレーズからインスピレーションを受けています。これは、帰宅時の「ただいま」に相当する表現ですが、持つ意味はそれだけにとどまらず、家族との安らぎと、それを得るためには努力が必要であるという作者の思いが込められています。 

物語の概要

物語は、主人公の家路久（いえじひさし）が中心です。かつては優秀な銀行員でしたが、左遷された後の単身赴任中にアパートの火事で一酸化炭素中毒になり、記憶を喪失してしまいます。これによって、前妻や娘との思い出、さらには新しい家族との関係が曖昧になり、彼は自分の帰るべき場所や家族とは何なのかを悩むことになります。

あらすじ

物語の始まりでは、久は故郷を失ったかのように感じ、新たな家族とともに生活しているものの、それに対して違和感を抱いています。元妻や娘を求めながらも、目の前にいる今の家族との絆を築こうと奮闘する姿は、混乱や葛藤、そして少しずつ自分を受け入れていく健気さを描き出しています。

果たして久は、自らの存在意義や帰るべき場所を見つけることができるのか。そして家族とは何かを再評価しながら、心の傷を癒していく過程が温かく見守られることでしょう。

ドラマ化された2つの作品

2004年版

この年にNHKで放映された『アイ’ム ホーム 遥かなる家路』は、全20話で構成され、主人公を時任三郎が演じました。詳細なキャストやエピソードは、多くの視聴者に感動をもたらしました。また、当時の作品は非常に高い評価を受け、DVD化もされています。

2015年版

2015年のテレビ朝日でのリメイク版では、主演を木村拓哉が務め、彼にとって新たなチャレンジとなりました。新たな家族関係や人間模様が描かれ、視聴率も高く期待以上の反響を呼びました。共演者には上戸彩が加わり、ドラマは華やかさと感動を与え続けました。

作品の背景

『アイ’ム ホーム』は、大阪・神戸を舞台にして描かれており、神戸フィルムオフィスがロケ地提供を行っています。また、作中の家族背景やさまざまなエピソードが、視聴者に普遍的なテーマとして共鳴しました。家族とは何か、どのようにすれば真の絆が育まれるのかを問いかけるこの作品は、読む者や見る者に深い感銘を与えています。 

このように『アイ’ム ホーム』は、ただの物語にとどまらず、家庭や家族の意味を再考させる作品として、多くの人に愛される存在となりました。

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