アイゴスポタモイの海戦

アイゴスポタモイの海戦

紀元前405年、アイゴスポタモイの海戦は、アテナイとスパルタの艦隊間で行われ、ペロポネソス戦争の最後を飾る重要な海の戦闘です。その舞台は、現在トルコ領のゲリボル半島に近いアイゴスポタモイ川の河口付近で、戦いの結果、スパルタ艦隊がアテナイ艦隊を壊滅させました。この敗北により、アテナイは穀物輸入ルートを完全にスパルタに抑えられ、戦争の行く道を大きく変えることとなりました。

背景

ペロポネソス戦争の中で、スパルタは紀元前406年のアルギヌサイの海戦で敗北を喫しました。この戦いの後、スパルタのリーダーたちは、キオス人やペルシアの王子キュロスからリュサンドロスを艦隊司令官として推薦されます。しかし、スパルタでは同じ人が二度艦隊を指揮することは禁止されていたため、リュサンドロスは副司令官に就任し、アラコスが艦隊司令官となりました。しかし、実質的にはリュサンドロスが指揮を執りました。

続く翌年、リュサンドロスはエフェソスで艦船の建造を進め、そのための資金をキュロスから得て艦隊の強化に努めました。その後、アテナイの同盟国との戦闘を開始し、アテナイにとって戦略的に重要な場所を次々に攻略していきました。これにより、アテナイ側は飢饉の危機を迎えることとなります。

アテナイ艦隊180隻は、リュサンドロスに挑むべく動き出し、アイゴスポタモイに停泊します。翌日、彼らは出撃を試みますが、リュサンドロスは出撃に応じなかったため、アテナイ艦隊は早々に撤退し、その様子を連続して観察されます。

その際、トラキアに亡命していたアテナイの政治家アルキビアデスは、艦隊の停泊地が不利であることを指摘し、移動を提案しますが、アテナイの指揮官たちは彼の忠告を無視してしまいます。

戦いの経過

5日目、リュサンドロスはついに攻撃を決意します。アテナイ艦隊が船から下り、食料を求めている隙をついて、全艦に攻撃の合図を送ります。リュサンドロスの艦隊は一斉に出航し、アテナイ艦隊に不意を突かれました。アテナイ側は多くの船を失い、数隻が辛うじて逃げる結果となります。

各史家の記録によれば、これによってアテナイ艦隊の大部分が捕虜となり、3,000人から4,000人の兵士がスパルタに連行されたとされています。捕虜たちの運命は厳しく、アテナイ側の将軍たちは次々に処刑されます。

戦後の影響

この戦いの後、リュサンドロスはアテナイの同盟国を取り込むため行動を起こし、一方アテナイ側は恐慌に陥ります。しかし、戦後のアテナイは籠城戦に立ち向かうことになり、スパルタ軍によって包囲されてしまいます。食料不足が深刻化する中、ついにアテナイは降伏を余儀なくされました。これによってペロポネソス戦争は終息を迎え、スパルタがアテナイの覇権を確立することになるのです。

もう一度検索