紀元前406年

紀元前406年：激動の時代

紀元前406年は、ローマ、ギリシャ、カルタゴなど地中海世界において、様々な出来事が発生した年として歴史に刻まれています。ローマでは、コッスス、アムブストゥス、コッスス、ポティトゥスが執政武官に就任しました。この年は、ローマ建国紀元348年とも記されますが、西暦紀年法の普及により、紀元前406年という表記が一般的となっています。

ギリシャ：アテナイとスパルタの対立

この年は、アテナイとスパルタの激しい戦いが繰り広げられた年でもありました。スパルタ艦隊の指揮官カリクラティダスは、レスボス島のメテュムナを攻撃し、アテナイへの穀物供給を脅かしました。アテナイは、アルキビアデスに代わってコノンを艦隊司令官に任命し、レスボス島の防衛に当たりました。

アルギヌサイの海戦は、アテナイの勝利に終わりましたが、この勝利の裏には、アテナイ側の新しい戦術と、スパルタ側の戦力の劣勢がありました。しかし、この勝利は、アテナイ市民によって、戦闘中に味方の艦船からの生存者救助を怠ったとして、8人の将軍が処刑されるという悲劇的な結末を招きました。この処刑には、ペリクレスの息子も含まれていました。

一方、スパルタはアテナイに和平を申し入れましたが、アテナイ側はこれを拒否しました。その後、スパルタはペルシア帝国の支援を受け、リュサンドロスをヘレスポントスの艦隊指揮官に任命しました。

ローマ：長期に渡る攻城戦

ローマでは、ウェイイの攻城戦が始まりました。この攻城戦は10年も続いたとされ、ローマ軍の長期作戦を物語っています。

カルタゴ：シチリア侵攻と疫病

カルタゴはシチリアに侵攻し、アクラガス（アグリゲントゥム）を攻撃しました。しかし、カルタゴ軍は疫病（腺ペスト）の流行に見舞われ、将軍ハンニバル・マゴが死亡する事態となりました。後任のヒミルコはアクラガス、ゲラ、カマリナを陥れましたが、ゲラは破壊され、カルタゴ兵によって持ち帰られた疫病はカルタゴにも広まりました。

著名人の死

この年には、アテナイの著名な劇作家エウリピデスとソフォクレスが亡くなりました。エウリピデスは紀元前480年頃、ソフォクレスは紀元前495年頃生まれとされており、両者ともに長寿を全うしたと言えるでしょう。また、カルタゴの将軍ハンニバル・マゴの死も記録されています。

まとめ

紀元前406年は、ギリシャにおけるアテナイとスパルタの激しい対立、ローマにおける長期攻城戦、カルタゴのシチリア侵攻と疫病流行など、地中海世界において激動の年でした。これらの出来事は、その後の歴史に大きな影響を与えました。 また、著名な劇作家の死も、この年の出来事として記録されています。様々な出来事が複雑に絡み合い、古代世界のダイナミズムを象徴する年と言えるでしょう。

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