アイルランド国鉄

アイルランド国鉄：緑の島の鉄道ネットワーク

アイルランド国鉄（Iarnród Éireann – Irish Rail）は、アイルランド共和国における主要な鉄道事業者です。1987年の設立以来、国内の鉄道網の運営を担い、長距離列車から近郊電車、貨物輸送まで幅広いサービスを提供しています。親会社であるアイルランド交通システム（CIÉ）傘下で、アイルランドの経済と社会に貢献しています。

歴史：進化する鉄道網

アイルランド国鉄の歴史は、1987年のCIE鉄道部局の分社化に始まります。その後、日本の東急車輛製造（現：総合車両製作所）などから車両を導入し、順次近代化を図ってきました。

特に1990年代後半から2000年代にかけては、通勤路線の電化や新型車両の導入が積極的に進められました。東急車輛製造製の車両は、通勤列車やダブリン高速輸送（DART）の主力車両として活躍し、アイルランドの鉄道輸送の効率化に大きく貢献しています。近年は、現代ロテム製車両の導入や、既存車両の更新計画も進められており、更なるサービス向上を目指しています。

重要な出来事としては、1994年のIÉ2600系通勤電車の導入、2000年の路線電化、2009年のコーク - ミドルトン線の開業、2011年のICカード乗車券「リープカード」の導入などが挙げられます。また、2019年にはCIÉ8100/8300系の更新計画や、IÉ22000系の増備計画が発表され、アイルランド国鉄の近代化は現在も継続中です。

運行形態：多様な鉄道サービス

アイルランド国鉄は、大きく分けてインターシティ、通勤列車、DART、貨物輸送の4つのサービスを展開しています。

インターシティ

アイルランド主要都市間を結ぶ長距離列車で、最高速度は160km/hに達します。ダブリンを拠点とし、各地へ路線が伸びています。ダブリンとベルファストを結ぶ国際列車「エンタープライズ」は、北アイルランド鉄道との共同運行です。

通勤列車

主要都市とその近郊を結ぶ近郊電車です。ダブリン、コーク、リムリック、ゴールウェイなど主要都市を中心に運行され、多くの地域住民の通勤・通学を支えています。

ダブリン高速輸送（DART）

ダブリンとその周辺を湾沿いに走る通勤電車です。専用の電化区間を走行し、ダブリン市内中心部と近郊を高速に結びます。

貨物輸送

ばら積み貨物、インターモーダル輸送、自動車部品輸送など、様々な貨物輸送サービスを提供しています。鉄道に加え、道路輸送も実施しています。

車両：多様な車両が活躍

アイルランド国鉄では、インターシティ、通勤列車、DART、貨物輸送それぞれに最適な車両が使用されています。日本の車両メーカー製の車両も多く導入され、その信頼性と性能は高く評価されています。導入予定の車両も多数あり、今後の更なるサービス向上に期待が高まります。過去には使用されていた車両も多く存在しており、アイルランド国鉄の車両の歴史を物語っています。

駅：歴史と文化を伝える駅舎

アイルランド国鉄の駅は、多くが地名に由来しています。しかし、一部の主要駅は、1916年のイースター蜂起の指導者の名前にちなんで改名されているものもあります。これらは、アイルランドの歴史と文化を感じさせる象徴となっています。

ケータリング：快適な旅を演出

アイルランド国鉄では、車内販売やレストランサービスを提供しています。以前は自社で運営していましたが、現在は民間のケータリング業者に委託され、インターシティやエンタープライズ路線でサービスを提供しています。

将来展望：更なる発展へ

アイルランド国鉄は、新たな車両の導入や路線の電化、駅施設の改良など、将来を見据えた様々な計画を進めています。DARTの路線拡張計画「DART+」では、サービスエリアの拡大と利用者増加を目指しています。これらの取り組みは、アイルランドの鉄道ネットワークの更なる発展に繋がるでしょう。

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