アウグステ・フォン・ヘッセン＝カッセル

アウグステ・フォン・ヘッセン＝カッセル（Auguste Wilhelmina Louisa von Hessen-Kassel, 1797年7月25日 - 1889年4月6日）は、イギリス王族ケンブリッジ公アドルファスの妃であり、英語ではオーガスタ・オブ・ヘス＝カッセル（Princess Augusta of Hesse-Kassel）として知られています。彼女は、ドイツのヘッセン＝カッセル＝ルンペンハイム方伯フリードリヒと妃カロリーネ・ポリクセネ・フォン・ナッサウ＝ウジンゲンの末娘として、カッセルのルンペンハイム宮殿で生まれました。

1818年5月7日、21歳のアウグステは、カッセルで43歳のケンブリッジ公アドルファスと結婚しました。アドルファスは彼女の又従兄にあたります。この結婚は、アウグステの人生において重要な転換点となりました。結婚後、夫妻はハノーファーへ移り住みました。これは、ケンブリッジ公アドルファスが1816年から1837年までハノーファー王国の副王に任命されたためです。この期間、アウグステはハノーファーで公爵夫人としての役割を果たしました。

しかし、1837年に状況は大きく変化しました。アドルファスの姪にあたるヴィクトリアがイギリスの女王として即位した際、サリカ法を採るハノーファー王国では、女性君主の継承が認められませんでした。そのため、ハノーファー王室はイギリス王室との同君連合を解消し、アドルファスの兄であるカンバーランド公アーネスト・オーガスタスがハノーファー王エルンスト・アウグストとして即位しました。この出来事により、アウグステとアドルファス夫妻はイギリスへ帰国することになりました。

帰国後、夫妻はロンドン郊外のキューにあるケンブリッジ・コテージで生活を始めましたが、その後、セント・ジェームズ宮殿へ移り住みました。セント・ジェームズ宮殿は、イギリス王室の主要な住居の一つであり、アウグステはここで晩年を過ごしました。

アウグステとアドルファスの間には3人の子供が生まれました。長男のジョージ（1819年 - 1904年）は、父の後を継いでケンブリッジ公となりましたが、サラ・フェアブラザーとの結婚は貴賤結婚とみなされました。長女のオーガスタ（1822年 - 1916年）は、メクレンブルク＝シュトレーリッツ大公フリードリヒ・ヴィルヘルムと結婚し、ヨーロッパの王室とのつながりを深めました。次女のメアリー・アデレード（1833年 - 1897年）は、テック公フランツ・パウルと結婚し、その娘であるメアリー・オブ・テックは、後にジョージ5世の妃となり、イギリス王室の一員となりました。メアリー・アデレードは、4人の子供をもうけ、その子孫はヨーロッパの王室に広く分布しています。

アウグステの生涯は、ヨーロッパの歴史における重要な時期と重なっており、彼女の結婚や家族は、当時の王室間の関係を反映しています。彼女は、ケンブリッジ公爵夫人として、イギリスとドイツの王室の間に重要な役割を果たしました。

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