アウストロバイレヤ目

アウストロバイレヤ目について

アウストロバイレヤ目（学名: Austrobaileyales）は、被子植物の中で初めての分岐を示す重要な分類群です。北アメリカ南東部、東アジア、東南アジア、メラネシア、オーストラリア東部で広範に分布し、約90種の植物から構成されています。これらの植物は、常緑性や落葉性の木本であり、直立した成長をするものや、他の植物に絡みつくつる性のものもあります。特に、マツブサ科に属する植物は、飲食や生薬として利用されることが多く、日本ではシキミが仏事に頻繁に使用されています。

構成と特性

アウストロバイレヤ目は、以下の3つの科を含むことで知られています。

• - マツブサ科（Illiciaceae）
• - トリメニア科（Trimeniaceae）
• - アウストロバイレヤ科（Austrobaileyaceae）

これらの頭文字を合わせて「ITA群」とも呼ばれています。また、アウストロバイレヤ目は被子植物の初期分岐群の一つで、特に、アンボレラ目やスイレン目と共に、一般的に「ANAグレード」として知られています。

この目に属する植物は、すべて維管束形成層による二次成長を行い、木本の特性を持つのが特徴です。また、葉は互生または対生し、羽状の葉脈を持ち、葉の形は単葉が一般的です。気孔は不規則型または平行型で見られます。

花は放射相称と呼ばれ、その構造は両性花から単性花まで多岐に渡ります。花被片は不特定多数あり、らせん状に配置され、外側と内側で形態上の変異が見られることもあります。雄しべは多数出現し、花糸の形状は様々で、雌しべは離生心皮や嚢状心皮などで構成されています。果実は液果ですが、例外的に袋果もあります。

系統と分類

アウストロバイレヤ目は古くから原始的な被子植物と考えられてきました。20世紀後半以降の分子系統学の進展によって、マツブサ科やシキミ科、トリメニア科、アウストロバイレヤ科が単系統群として見なされるようになり、被子植物の初期分岐群の一角を占めることが確認されました。

さらに、研究の進展により、アウストロバイレヤ目の中で最初に分岐したのはアウストロバイレヤ科であり、その後トリメニア科とマツブサ科が互いに姉妹群として分類されることが多くなっています。現在の分類では、一般的にアウストロバイレヤ目に含まれる科は3つであり、それぞれの系統がどのように絡み合っているかへの理解が深まってきています。

このように、アウストロバイレヤ目は被子植物の進化の鍵を握る重要なグループであり、今後の研究に期待が高まっています。

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