アウディ・Q5

アウディQ5：高級SUVの進化と魅力

アウディQ5は、ドイツの自動車メーカーであるアウディが製造・販売するDセグメントに属する高級SUVです。高い走行性能と洗練されたデザインを融合し、世界中で高い人気を誇ります。本稿では、初代モデル(8R)と2代目モデル(FY)について、その特徴や歴史を詳細に解説します。

初代Q5 (8R) (2008年 - 2017年)

アウディQ7に続く、同社2番目のSUVとして開発されたQ5 (8R)は、ドイツ・インゴルシュタットで生産されました。最大の特長は、アウディ独自のフルタイム四輪駆動システム「quattro」の採用です。悪路走破性にも配慮した設計で、フォルクスワーゲングループのMLBプラットフォームをベースに、フロントオーバーハングの短縮やフロントへの荷重偏りの抑制が図られています。最低地上高や電子制御スタビリティプログラム（ESP）の制御もオフロード走行に最適化されています。

デザインコンセプトは「洗練されたスポーティデザイン」。力強いボディ下部とクーペのような流れるルーフラインを組み合わせ、SUV特有の力強さとアウディらしいエレガントさを両立しています。シングルフレームグリル、LEDヘッドライト、フルLEDテールランプなど、アウディファミリーのアイデンティティを継承したデザインも魅力です。

室内には、ナビゲーションやオーディオ、車両機能の設定などを集中操作できるMMI（マルチメディアインターフェイス）を搭載。フルセグチューナーや、iPodなどの接続に対応したAMI（アウディミュージックインターフェース）も装備し、オプションでバング＆オルフセン製プレミアムサウンドシステムも選択可能です。540Lのトランク容量は、リアシートの分割可倒やスライド機能により、最大限に活用できます。

パワートレインは、3.2L V型6気筒ガソリンエンジンと2.0L直列4気筒ガソリンターボエンジンが用意されました。どちらも可変バルブタイミング機構「AVS」を採用し、力強い走りを実現しながら、燃費効率とCO2排出量の削減も両立。欧州市場向けにはディーゼルエンジン仕様も設定されていました。トランスミッションは7速DCT（Sトロニック）を組み合わせ、高い操縦安定性を提供します。

安全機能も充実しており、ヒルディセントコントロール、ESPオフロードモード、ルーフ感知機能付ESPなどを装備。さらに、ドライバーの好みに合わせて走行モードを選択できる「アウディドライブセレクト」も搭載されました。高性能モデルのSQ5も設定され、スーパーチャージャー付き3.0L V型6気筒エンジンを搭載し、高い動力性能を誇ります。

日本市場では2009年5月に発売開始され、右ハンドル仕様のみの設定でした。2010年、2012年には仕様変更やマイナーチェンジを実施し、デザイン、パワートレイン、装備の改良が行われました。2013年には、パラレルハイブリッドモデルも追加されました。

2代目Q5 (FY) (2016年 - )

2016年のパリモーターショーで発表された2代目Q5(FY)は、メキシコで生産され、新しいモジュラープラットフォーム「MLB evo」を採用。軽量化設計により、従来モデルと比べて60～70kgの軽量化を実現しました。Cd値0.30という優れた空力特性も特長です。

デザインは、水平基調のエクステリアとインテリアが特徴。シングルフレームグリル、ヘッドライト、テールライトのデザインも刷新され、よりモダンでスポーティな印象に。室内空間も拡大され、居住性と快適性が向上しています。トランク容量は550L（最大1550L）を確保。電動リアゲートも選択可能です。

MMIは「MMI タッチ」へと進化し、8.3インチタッチパネルや文字入力機能などを搭載。さらに、12.3インチのフルデジタルディスプレイ「アウディバーチャルコックピット」も設定されました。インターネット接続機能やスマートフォン連携機能など、コネクティビティも強化されています。

安全運転支援システムも充実。アダプティブクルーズコントロールにトラフィックジャムアシスト機能が追加されたほか、アウディプレセンスシティ、アウディアクティブレーンアシスト、アウディサイドアシストなども搭載されています。

パワートレインは、2.0L直列4気筒ガソリンターボエンジンがベース。デュアルインジェクションシステム、高度なサーマルマネジメントシステムなどを採用し、燃費効率を向上させています。ディーゼルエンジン仕様も設定され、日本市場にも導入されました。トランスミッションは新開発の7速DCT（Sトロニック）、駆動方式は「ultraテクノロジー」を採用したquattroシステムです。

シャシーには新開発の電動パワーステアリングと5リンクサスペンションを採用。オプションでアダプティブエアサスペンションも選択でき、走行状況に応じて最適なサスペンションセッティングが可能です。

高性能モデルSQ5は、ツインスクロールターボチャージャー付き3.0L V型6気筒エンジンを搭載し、高い動力性能と燃費効率を両立しています。ダイナミックステアリングもオプションで用意されています。

日本市場では2017年10月に2代目Q5とSQ5が発売されました。2018年にはロングモデルのQ5 L(日本未導入)を発表。2019年にはプラグインハイブリッドモデル(日本未導入)が登場しました。2020年にはフェイスリフトを実施し、デザインや装備などが刷新されています。また、クーペスタイルの「Q5/SQ5 スポーツバック」も追加設定されています。

Q5は、高い走行性能、洗練されたデザイン、充実した安全装備など、数々の魅力を兼ね備えた高級SUVとして、高い人気を維持しています。 今後、更なる進化とバリエーション展開が期待されます。

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