アウトゴルペ

アウトゴルペ (Autogolpe)

アウトゴルペ（スペイン語: Autogolpe）は、1992年4月5日にペルーで発生したクーデター事件です。当時の大統領であったアルベルト・フジモリが、軍と警察の支持のもと、議会や司法機関を解散させ、憲法の効力を停止しました。この出来事は、しばしば「フヒモラソ（Fujimorazo）」とも呼ばれます。

背景

1968年以降のフアン・ベラスコ・アルバラード率いる軍事政権下で、ペルーの債務は著しく増加しました。これは、過剰な借入に加え、1970年代のオイルショックが影響しています。1985年に大統領に就任したアラン・ガルシアは、巨額の債務返済を凍結するなどの経済政策を実施しましたが、これによりペルーは国際市場からさらに孤立し、外国からの投資が大幅に減少しました。ガルシア政権下では、年率8,000％というハイパーインフレが発生し、左翼ゲリラ組織「センデロ・ルミノソ」との内戦が激化するなど、国内の不安定さが増しました。

ヴェルデ計画

ペルー内戦中の1989年6月、ペルー国軍は「ヴェルデ計画」を極秘裏に策定しました。この計画は、貧しい先住民の虐殺、国内メディアの統制・検閲、そして新自由主義経済の確立を目的としていました。当初、クーデターも計画に含まれていましたが、アメリカ大使であったアンソニー・C.E.クイントンがこれに反対しました。

自己クーデターの実行

1992年4月5日の夜、フジモリ大統領はテレビ演説を行い、共和国議会を「一時的に解散」し、司法府を「再編成」すると発表しました。彼は政令25418号を公布し、緊急事態宣言と夜間外出禁止令を発令するとともに、憲法の規定を停止し、共和国議会を解散させ、行政府にすべての立法権を与えました。さらに、テロリスト征討に関して大統領に強大な権限を付与しました。

自己クーデターに反対した首相のアルフォンソ・ペレス・デ・ロス・ヒーローズ・アルバと農業相のエグスタボ・ゴンサレス・プリエトは、翌6日に辞任しました。ドミニカ共和国へ外遊中だった第一副大統領のマキシモ・サン・ロマンは、事前にクーデターを知らされておらず、フジモリの行動に反対しました。しかし、他の閣僚はフジモリを支持しました。

共和国議会は、フジモリの自己クーデターに対抗し、4月21日に憲法の規定に基づいて大統領を解任し、マキシモ・サン・ロマンを大統領に任命しました。元大統領のフェルナンド・ベラウンデ・テリーや野党・人民と行動党の多くがサン・ロマンの大統領就任を支持し、FREDEMOの元大統領候補であったマリオ・バルガス・リョサは、フジモリ政権を打倒するために市民に反乱を呼びかけました。しかし、軍や大多数の国民はサン・ロマンを支持しませんでした。

フジモリはその後、「民主憲法会議」を設置し、制憲議会の選挙を実施することを決定しました。

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