アウトストラーダ A29

アウトストラーダ A29：シチリア島を横断する主要高速道路

アウトストラーダ A29は、イタリアのシチリア島を横断する重要な高速道路であり、パレルモからマツァーラ・デル・ヴァッロを結び、さらに分岐路を通じてトラーパニやマルサーラとも接続しています。本線の全長は約115kmで、ANAS（アジエンダ・ナツィオナーレ・アウトノーメ・デッレ・ストラーデ：国立道路公社）によって管理され、通行料金は無料です。この道路は、欧州自動車道路E90号線の一部を構成し、マツァーラ・デル・ヴァッロの出入口からは欧州自動車道路E931号線が分岐しています。

歴史

A29の建設は、1968年のベリーチェ地震後の復興事業の一環として始まりました。1971年8月30日には、パレルモのトンマーゾ・ナターレ郊外とマツァーラ・デル・ヴァッロの起点近くで着工式典が開催されました。

工事はまずパレルモとファルコーネ・ボルセリーノ国際空港間から始まり、1972年6月に完成しました。同時期に、マツァーラ・デル・ヴァッロからアルカモとサレーミ間のガッリテッロ出入口までの区間でも工事が開始されました。約1年の中断後、1973年4月にはヴィッラグラツィア・ディ・カリーニからアルカモ東出入口までの本線工事が再開され、20ヶ月後の1975年12月にANASによって完成が発表されました。

1975年2月には、トラーパニとアルカモ間の約45kmのスーペルストラーダ（高速道路に準ずる道路）の建設も開始され、1976年5月にアウトストラーダ本線と接続されました。アウトストラーダ自体も、1976年の前半にはアルカモと現在のA29-dir間の区間が完成し、現在の形となりました。1979年から1980年にかけては、トラーパニ方面への分岐路としてダッティーロ-パチェーコ区間とトラーパニ空港区間が建設されました。この分岐路は当初マルサーラまでの延伸が計画されていましたが、実現には至りませんでした。

1980年代には、このアウトストラーダはパレルモ環状線に接続するまで延伸され、以前の起点にはトンマーゾ・ナターレ-モンデッロ出口が開設されました。1990年代には、シチリア北西部の国道113号線に接続するアルカモ西出入口が新たに開設されました。

その後、10年以上にわたって、緊急連絡電話の追加、右側黄線の除去、夜間照明の改善、高架橋や上下車線間の側面保護の強化、パレルモとイーゾラ・デッレ・フェンミネ間にあるトンネルの安全性向上などの追加工事が実施され、2007年に完了しました。

現在の状況

A29の経路上には、給油可能なサービスエリアが一つもありません。最も長いトンネルはA29 dirのカラタフィーミ-セジェスタ出入口手前にあるセジェスタトンネルで、長さは1615mです。このトンネルには以前、避難路、換気設備、緊急電話がありませんでしたが、2018年5月30日に4年を費やした構造調整工事が完了しました。この工事には1600万ユーロが投じられ、トンネル壁面の再塗装、避難用の歩行者通路確保のためのジャージーバリアーの設置、照明や換気システムの新規設置、照明付き標識、トンネル内ラジオ放送、緊急電話、反響音調整、遠隔操作システム、ビデオ監視、火災検知器、消防用水システムなどが導入されました。また、A29 dirのフルガトーレ出入口とダッティーロ出入口の間には、長さ460mのフモーザトンネルがあります。

最も長い高架橋は、セジェスタトンネル手前のカルド高架橋で、長さは2382mです。

主要なパーキングエリアは2箇所あり、一つはアルカモ東出入口とカステッランマーレ・デル・ゴルフォの間にあるコスタ・ガイア（照明あり、給油施設建設予定）、もう一つはマツァーラ・デル・ヴァッロ出入口とカンポベッロ・ディ・マツァーラ出入口の間にあるフォンタネッレ（照明なし）です。夜間照明は、パレルモ・ヴィアーレ・ベルジョからカポルーゴ・シチリアーノ空港までの始点近くの区間に集中しており、その後のすべての出入口に照明があるわけではありません。

カパーチ出入口の南約600mには、1992年5月23日にマフィアの攻撃で亡くなったジョヴァンニ・ファルコーネ判事とその妻、護衛官を追悼するモニュメントが設置されています。

A29 dir アルカモ-トラーパニ分岐路

アルカモ近郊のA29本線から始まる全長36.9kmの分岐路で、ANASが管理し、通行料は無料です。欧州自動車道路E933号線に指定されています。

A29 dirA ビルジ方面分岐路

ダッティーロ付近でアルカモ-トラーパニ分岐路から始まり、ミジリシェーミのロコグランデの第37戦闘航空団基地入口付近で終わる全長13kmの分岐路です。ANASが管理し、通行料は無料です。1999年10月29日の法令により、A29 dirと分類され、ANASは他の路線と区別するためにA29 DIR/Aと名付けています。

A29 ファルコーネ・ボルセリーノ空港接続路

通称プンタ・ライージ方面分岐路と呼ばれ、A29とパレルモ国際空港を結ぶ全長4kmの道路です。通行料は無料です。1999年10月29日の法令でA29に分類され、ANASは他の分岐路と区別するためにA29 RACCと名付けています。

A29-パレルモ接続路

通称ヴィア・ベルジョ接続路と呼ばれ、A29の0km地点からパレルモ環状線まで延びる全長5.6kmの区間です。ANASが管理し、片側2車線および緊急車線で構成されています。A29の延長として1980年代に建設され、ANASは他の分岐路と区別するためにA29 RACC BISと名付けています。この接続路は、独立した距離標を持っています。

付記

道路標識には、A29 RACCやA29 RACC BISの名称は表示されていません。

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