トラーパニ

トラーパニ：シチリアの港町、歴史と自然が織りなす魅力

トラーパニは、イタリア・シチリア島西部に位置する人口約5万5千人の都市です。地中海に面した港湾都市として、エーガディ諸島など周辺地域への玄関口となっています。市街地は隣接するエーリチェのカーサ・サンタ地区と連続しており、都市圏人口は約8万人に達します。

名称の由来と歴史

トラーパニ（Trapani）の名称は、古代ギリシャ語の「ドレパノン（Δρέπανον）」に由来します。これは「鎌」を意味し、港の地形が鎌のように湾曲していることにちなんでいます。古代にはエリミ人によって建設され、その後カルタゴ、ローマの支配を経て発展しました。特に、第一次ポエニ戦争では重要な海軍拠点となり、激戦地となりました。

第二次世界大戦中には連合国軍の爆撃で大きな被害を受けましたが、戦後に復興し、市街地は拡大しました。近年では、2021年に南部の飛び地の一部がミシリッシミとして分離しています。

地理

トラーパニは、シチリア島北西部の沿岸に位置し、ティレニア海に面しています。パレルモから西南西へ約75km、アグリジェントから北西へ約122kmの距離にあります。市域は南北に分断されており、南側の飛び地の方が広くなっています。

隣接するコムーネは、エーリチェ、パチェーコ、ブゼート・パリッツォーロ、カラタフィーミ＝セジェスタ、サレーミ、マルサーラ、ミシリッシミなどです。

経済と産業

トラーパニは、古くから漁業と製塩業が盛んな地域です。特に、マグロ漁は「マッタンツァ」と呼ばれる伝統的な漁法で行われています。また、塩田は独特の景観を形成し、「塩の道」として観光資源にもなっています。サンゴや大理石も重要な輸出品です。

さらに、トラーパニはワインの産地としても知られており、酒精強化ワイン「マルサラワイン」は特産品として世界的に有名です。近年では、近隣のエーリチェ山、セジェスタ遺跡、エーガディ諸島への観光客が増加しており、観光業も重要な産業となっています。

自然と環境

トラーパニからパチェーコにかけて広がる塩田は、トラーパニおよびパチェーコ塩田自然保護区として保護されています。この地域は、セーカーハヤブサやエジプトハゲワシなど、多くの鳥類の生息地となっており、2017年にはラムサール条約登録地となりました。

スポーツ

トラーパニには、プロサッカークラブ「トラーパニ・カルチョ」があります。このクラブは1905年に設立されたシチリアで最も古いサッカークラブの一つで、ホームスタジアムは隣接するエーリチェ市域にあります。

交通

トラーパニは、エーガディ諸島、パンテッレリーア島、サルデーニャ島、チュニジアなどへのフェリーが発着する重要な港湾都市です。

また、マルサーラとの境界付近にはトラーパニ・ビルギ空港があり、国内外からのアクセスも便利です。

姉妹都市

トラーパニは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

コンスタンツァ（ルーマニア）
レ・サーブル＝ドロンヌ（フランス）
エペルネー（フランス）
ウィニペグ（カナダ）

トラーパニは、歴史、文化、自然が豊かな魅力的な都市です。シチリア島を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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