アウト・ブルーズ

1998年9月1日、日本コロムビアからリリースされたthee michelle gun elephantの9thシングル「アウト・ブルーズ」。前作「G.W.D.」に続く2ヶ月連続リリースで、このシングルがバンドにとって大きな転換点となりました。それは、バンドのシングル作品としては初めてオリコンチャートでトップ10入りを果たしたという快挙です。

「アウト・ブルーズ」は、バンドの代表曲の一つとして、現在でも高い人気を誇ります。そのサウンドは、彼らの他の楽曲とは一線を画す独特のものです。まず特筆すべきは、録音方式です。「G.W.D.」と同様にモノラル録音を採用しています。この手法は、音の立体感を抑え、独特の奥行きと重厚感、そして何とも言えないノスタルジックな雰囲気を作り出しています。

そして、この楽曲のジャンルについて、ボーカルのチバユウスケは「サイケデリック・ハイ・ブルーズ」という独自の呼び名を与えています。この言葉からは、ブルースの土台にサイケデリックな要素が加わり、昂揚感あふれる高揚したブルースサウンドが想像できます。実際、楽曲を聴くと、ブルースの憂愁を帯びたメロディーラインに、サイケデリックなエフェクトや独特のギターサウンドが絡み合い、聴く者を圧倒するような力強いサウンドが展開されています。

さらに注目すべき点は、アルバム未収録という点です。この曲は、後に発表されるアルバム「ギヤ・ブルーズ」には収録されませんでした。そのため、このシングルでしか聴くことができない貴重な楽曲となっています。後にベストアルバム『TMGE 106』に収録され、多くのファンが初めて聴く機会を得る形となりましたが、それでもなお、このシングルに収録された「アウト・ブルーズ」の持つ特別な価値は色褪せていません。

カップリング曲には、The Boysのカバー曲「SODA PRESSING」が収録されています。このカバー曲も、彼らの独特の解釈によって、thee michelle gun elephantらしいアレンジが加えられ、オリジナルとは異なる魅力を持っています。

「アウト・ブルーズ」は、全体を通して、thee michelle gun elephantの音楽性を凝縮した、まさに集大成的シングルと言えるでしょう。彼らの代表曲として長く愛され続ける理由が、この楽曲を聴けば納得できるはずです。モノラル録音による独特のサウンド、チバユウスケの個性的な歌詞とボーカル、そしてバンド全体の圧倒的な演奏力。全てが完璧に調和し、リスナーを魅了する、まさに珠玉の一曲と言えるでしょう。作詞は全てチバユウスケ、作曲・編曲はthee michelle gun elephantとクレジットされています。その完成度の高さは、彼らが日本のロックシーンにおいて重要な地位を占めていることを改めて証明しています。

もう一度検索