アオイモリ

アオイモリ（Cynops cyanurus）

アオイモリは、イモリ科イモリ属に分類される有尾類で、中国の貴州省西部と雲南省中部にのみ生息する固有種です。別名ハナダイモリとも呼ばれています。

分布

アオイモリは、中華人民共和国の貴州省西部と雲南省中部に固有の種です。模式標本の産地は貴州省の水城市ですが、この地域の個体群は既に絶滅しています。

形態

アオイモリの全長は7.3 - 11.5センチメートルで、オスは頭胴長が4.1 - 5.4センチメートル、メスは3.8 - 6.3センチメートルです。皮膚は顆粒状で粗く、背中の中央には稜があります。尾は頭胴長よりも短く、背面の体色は暗褐色や灰緑色で、黒い斑紋が入ります。尾の側面では黒い斑紋がより顕著に見られます。背側面には橙色の斑紋が現れる個体もいます。喉から胴体、尾の前半部までの腹面は赤や橙色をしています。眼の後ろには、1 - 2個の橙や赤の斑点があることが多いです。

耳腺は発達しておらず、喉には明瞭な横皺があります。四肢は短く、後肢には5本の趾があります。オスは、前肢を後方へ、後肢を前方に伸ばすと、指と趾が重なり合って接します。オスの総排泄口の後端にある肉壁には突起が発達し糸状になります。繁殖期になると、オスの尾の側面に青い婚姻色が現れます。メスは同様に肢を伸ばしても、指と趾は重なり合わないか、接する程度です。

分類

アオイモリは、以前はチェンコンイモリのシノニムとする説もありましたが、現在では独立種とするのが有力です。1979年に亜種C. c. yunnnanensisが先に記載されましたが、模式標本の指定がなかったため無効とされました。1983年にC. c. chuxiongensisと改めてC. c. yunnnanensisが記載されましたが、先に記載されたC. c. chuxiongensisが優先され、亜種ユンナンアオイモリの学名はC. c. chuxiongensisとなりました。

しかし、ミトコンドリアDNAの分子解析では、C. c. yunnnanensisの模式産地である雲南省無量山個体群の遺伝的距離が他の個体群よりも大きいと推定されています。

亜種

アオイモリ（Cynops cyanurus cyanurus）
中華人民共和国（貴州省西部）に生息。
総排泄腔の隆起全体が赤や橙色。
ユンナンアオイモリ（Cynops cyanurus chuxiongensis）
中華人民共和国（雲南省中部）に生息。模式産地は楚雄市。
総排泄腔の隆起の前方のみが赤や橙色。

生態

アオイモリは、標高2,000メートル付近の池や水田などに生息しています。冬眠の際には、5か月以上絶食することもあります。食性は動物食で、昆虫や水生動物などを捕食します。

繁殖形態は卵生です。4月から10月（主に5月から6月と考えられています）にかけて、主に夜間（83%）に、1日に4個程度の卵を平均57日間産み続けます。幼生は9月から翌年の1月頃（産卵から約112日後）に変態して幼体になります。飼育下では10年以上の生存記録があります。

人間との関係

アオイモリはペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されています。2005年にはまとまった量の輸入例がありました。アクアリウムやアクアテラリウムで飼育されます。

参考文献

(参考文献リストは省略)

関連項目

イモリ科
* イモリ属

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