イモリ属

イモリ属（Cynops）について

イモリ属（Cynops）は、両生綱有尾目イモリ科に分類される属で、東洋イモリ属とも呼ばれます。中国と日本に分布しており、水生傾向が強く、住宅地や農耕地の周辺にも生息しています。

形態

イモリ属のイモリは、胴体が短く、尾は側扁しているのが特徴です。背面の体色は暗褐色で、腹面の体色は赤色や橙色をしています。舌は円形で、側面は口床に癒合していません。四肢は長く、指趾も長いですが、指趾の間に水かきはありません。卵は楕円形をしています。幼生は発生初期に平衡器官であるバランサーを持っています。オスは総排泄腔の周囲が隆起しており、繁殖期にはその隆起が顕著になり、尾側面に婚姻色が現れます。

分類

イモリ属の分類については、分子解析の結果から、日本産の種のみを残し、中国産の種を別属Hypselotritonに分割する説があります。しかし、Hypselotriton属の模式種であるユンナンイモリが絶滅種であり、分子解析が行われていないこと、Hypselotriton属内にPingia亜属が設けられているものの、その根拠が分布と1980年代に行われた簡易的な形態比較に基づくこと、さらにPingia亜属内にフトイモリ属の別種であるキメアラフトイモリが含まれていることなどから、この分類には疑問が残るとされています。

本稿では、AmphibiaWebおよび西川（2013）の分類に従い、和名は西川（2013）に準拠します。

Cynops chenggongensis チェンコンイモリ（絶滅種？）
Cynops cyanurus アオイモリ
Cynops ensicauda シリケンイモリ
Cynops fudingensis フーディンイモリ
Cynops glaucus ウーファイイモリ
Cynops orientalis チュウゴクイモリ
Cynops orphicus クァントンイモリ
Cynops pyrrhogaster アカハライモリ
Cynops wolterstorffi ユンナンイモリ（絶滅種）

人間との関係

イモリ属のイモリは水生傾向が強く、人の生活圏に近い場所に生息しているため、開発や汚染の影響を受けやすいと考えられています。特に、チェンコンイモリは1982年のごく短い期間に採集された記録があるのみで、ユンナンイモリは1984年以降の発見例がないことから、絶滅したと考えられています。また、ウーファイイモリ、クァントンイモリ、フーディンイモリは分布域が限定的であり、絶滅の危険性が高いとされています。

イモリ属の保全のためには、生息地の環境保全や、適切な飼育法の確立など、様々な取り組みが必要とされています。

参考文献

AmphibiaWeb
* 西川, 2013.

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