アオツヅラフジ

アオツヅラフジ（青葛藤、学名: Cocculus trilobus）は、ツヅラフジ科に属するつる性の落葉木本です。別名カミエビとも呼ばれ、その名の通り、緑色のつるが特徴的な植物です。ただし、有毒植物であるため、取り扱いには注意が必要です。

特徴

アオツヅラフジのつるは、細く緑色で、他の植物に左巻きに絡みつきながら成長します。若いつるには細かい毛が密生しており、成長すると直径1cm程度になり、秋には芯が締まって紫黒色へと変化します。葉は互生で、卵型や心臓型をしており、葉先が浅く3裂することもあります。葉の大きさは6cm前後で、オオツヅラフジと比較して小さく、葉柄も短いのが特徴です。葉の表面には光沢があり、短毛が密生しています。

アオツヅラフジは雌雄異株であり、夏には淡黄色または黄白色の小さな花を多数咲かせます。花は円錐花序を形成し、萼片と花弁がそれぞれ6枚ずつあります。雄花には6本の雄しべがあり、雌花には6個の柱頭があります。秋になると、直径6-8mmの球状の核果が房状に実り、緑色から青色に熟していきます。熟した果実は表面がやや粉を帯び、潰すと紫黒色の汁が出ます。果実の中には直径4mmほどの種子が1つ入っており、扁平で円形、カタツムリの殻のような形をしています。

名前について

アオツヅラフジの「アオ」は、つるが緑色であることに由来し、「ツヅラ」は、かつてつるが葛籠の材料として利用されたことに由来します。別名のカミエビは、この植物のつるがエビのように見えることに由来すると考えられています。また、地域によってはチンチンカヅラ、ピンピンカヅラとも呼ばれ、『万葉集』には黒葛という名で登場します。

分布と生育環境

アオツヅラフジは、北海道から沖縄まで日本全国に分布しており、海外では朝鮮半島、中国南部、フィリピン、太平洋諸島などにも分布しています。低地の草原や山林、土手や山裾、都市部の道端など、幅広い環境で見ることができます。

利用

アオツヅラフジのつるや根は、漢方薬として利用されることもありますが、一般的にはオオツヅラフジが用いられます。アオツヅラフジは有毒植物であり、素人の判断で利用することは非常に危険です。昔は、丈夫なつるを葛籠の材料や、鴨猟に利用するための鳥もちを塗る際に使われていました。また、物を縛る、買い物かごや背負いかごなど、多岐にわたる用途で利用されていました。アルカロイドを含むことから、殺虫剤としても用いられたことがあります。

アオツヅラフジ属

アオツヅラフジ属は、熱帯を中心に世界に11種ほど存在し、多くがつる性です。実が赤く熟す種も存在します。日本では、奄美大島に希少種のホウザンツヅラフジが分布しています。また、九州から東南アジアに分布するイソヤマアオキは、直立性の常緑低木であり、葉がクスノキ科の植物に似ていることから、アオツヅラフジとは外見が大きく異なります。

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