アオネカズラ

アオネカズラについて

アオネカズラ（Polypodium nipponicum Mett.）は、シダ植物門ウラボシ科に属する着生植物で、特にその根茎の美しい青緑色が特徴的です。観賞用に栽培されることが多く、独特の外観で多くの人々に愛されています。今回、アオネカズラの特徴、生育環境、近縁種、そしてその利用について詳しく紹介します。

特徴

アオネカズラは、葉の形状と色彩が特異であり、根茎が横に這った状態で成長します。根茎の直径は約4〜5mmで、やや肉厚で緑色から白っぽい緑色をしています。根茎には褐色の鱗片がまばらに存在し、全体的に柔らかい印象を与えます。

葉は冬緑性で、一回羽状に深く裂ける形をしています。葉の長さは約15〜20cm、葉柄は褐色を帯びており、約7〜15cmの長さがあります。小葉は15〜25対あり、それぞれ主軸に対して直角に広がり、先端は少しとがった形状をしています。葉の表面には艶がない一方、裏側には細かい毛が多く生えており、全体として柔らかい印象を強めています。胞子嚢群は若い時は黄色で、主に各羽片の裏側に並んでいます。

生育環境と分布

アオネカズラは低山の樹木の幹や岩に着生することが多いです。日本では関東以西の本州、四国、九州で見られますが、近年はその数が減少している地域が多く見受けられます。国外では中国南部にも分布しています。

近縁種

アオネカズラに非常に似ている近縁種もいくつか存在します。日本にはこの属に7種類が確認されており、特に以下の二種が有名です。

• - *アマミアオネカズラ（P. amamianum Tagawa）：奄美群島の固有種で、根茎の鱗片の形状に違いがあります。別種としての位置づけに議論があるものの、外見はアオネカズラに似ています。
• - タイワンアオネカズラ（P. formosanum Baker）*：こちらもアオネカズラに似ていますが、葉の裏側にはほとんど毛がありません。日本では屋久島と西表島で見られ、中国や台湾でも分布しています。タイワンアオネカズラはアオネカズラよりも栽培されることが多いですが、葉の柔らかさではアオネカズラに軍配が上がります。

利用

アオネカズラはその美しい外観から観賞価値が高く、特にヘゴ板に取り付けて栽培されることが多いです。葉の鮮やかな緑と根茎の美しい青緑色が調和し、インテリアとしても人気があります。しかし、この美しさゆえに野生から採取されることが多く、現在では各地でその数が激減しています。持続可能な栽培活動が求められる中で、アオネカズラの保護と「育てる楽しみ」を今一度考える時期かもしれません。

参考文献

• - 岩槻邦男編『日本の野生植物　シダ』(1992)平凡社
• - 光田重幸『しだの図鑑』(1986)保育社

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