アカガエル科

アカガエル科 (Ranidae) について

アカガエル科は、両生綱無尾目（カエル目）に属する科の一つで、その名の通りアカガエルを含む多様なカエルたちが分類されています。

分布

アカガエル科は、南極大陸を除くほぼ全世界に分布しており、非常に広範囲に生息しています。具体的には、アフリカ大陸南部、オーストラリア大陸の大部分、南アメリカ大陸南部、マダガスカルなどを除く、地球上の様々な地域で見ることができます。この広範な分布は、アカガエル科の種が多様な環境に適応していることを示しています。

形態

アカガエル科のカエルは、四肢が発達しており、敏捷な動作と優れた跳躍力、遊泳力を持つ種が多いのが特徴です。これらの運動能力を支えるため、骨格や筋肉も発達しており、直線的で角ばった体型をしている種が多く見られます。また、多くの種が背中に背側線という特徴的な線を持っていますが、ウシガエルのように持たない種も存在します。

体色については、アカガエルという名前から赤褐色のイメージが強いかもしれませんが、実際には緑色、黒色、灰色など、様々な色の種がいます。また、鮮やかで多様な斑紋を持つ種が多く、ツチガエルのように体の表面全体にいぼがある種もいます。オスの多くは、両頬に鳴嚢を持ちます。アオガエル科やアマガエル科の多くの種とは異なり、指先に吸盤がないため、成体は樹上生活には適応しておらず、生息域は水辺から大きく離れることはありません。さらに、環境に合わせて体色を変える能力を持つ種は存在しません。

分類

アカガエル科の分類は、Amphibian Species of the World(Ver. 6.1)に基づいています。属の和名については倉本編著(1993)に、日本に分布する種を含む属は日本爬虫両棲類学会(2020)に従っています。以下に主な属を挙げます。

Abavorana
Amnirana
ハヤセガエル属 Amolops
バビナ属 Babina - オットンガエル・ホルストガエルのみ
Chalcorana
Clinotarsus
ツチガエル属 Glandirana - サドガエル・ツチガエルなど
フーハヤセガエル属 Huia
Humerana
Hydrophylax
Hylarana
Indosylvirana
アメリカアカガエル属 Lithobates
Meristogenys
ハラブチガエル属 Nidirana
ニオイガエル属 Odorrana - アマミハナサキガエル・アマミイシカワガエル・オオハナサキガエル・オキナワイシカワガエル・コガタハナサキガエル・ハナサキガエルなど
Papurana
トノサマガエル属 Pelophylax - ダルマガエル・トノサマガエルなど
Pseudorana
Pterorana
Pterorana khare Khare's frog
Pulchrana
アカガエル属 Rana
Sanguirana
ナガレガエル属 Staurois
Sumaterana
Sylvirana


これらの属には、様々な形態や生態を持つ種が含まれており、アカガエル科の多様性を示しています。

人間との関係

アカガエル科のカエルは、人間生活と様々な関わりを持っています。例えば、ウシガエルのように食用とされる種も存在します。中国や中央アジアでは、ハスマというカエルの卵管が菓子として利用されています。日本では、本稿で紹介したアカガエル科のカエルは、河川や水田など、身近な場所で見ることができます。しかし、近年では河川工事や水田の減少などにより、生息数が減少傾向にあります。特に南西諸島に生息する種は、環境破壊の影響で生息数が激減しており、地方自治体指定の天然記念物や環境省のレッドリストに記載されている種も少なくありません。一方で、ペットとして飼育される種類も多く、その多様な姿が愛されています。

アカガエル科のカエルは、自然環境において重要な役割を果たしており、その保護の必要性が高まっています。

出典

クリス・マチソン（著者） 松井正文（監修・訳）『世界カエル図鑑300種』ネコ・パブリッシング、2008年4月20日。ISBN 978-4-7770-5227-1。

関連項目

* カエル

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