アカモノ

アカモノ（赤物）について

アカモノ（学名: Gaultheria adenothrix）は、ツツジ科のシラタマノキ属に属する常緑の小低木です。別名ではイワハゼとも呼ばれ、日本の北海道、本州の特に近畿以北の日本海側、四国や九州の低山帯から亜高山帯にかけて生息しています。四国では、特に別子銅山の近くで確認されることが多いです。この植物は日当たりの良い草地や林縁で生育し、時には群生を形成することもあります。その名は、赤い果実に由来するとされ、もともとは「アカモモ（赤桃）」と呼ばれていましたが、時が経つにつれ名称が変わったと言われています。

特徴

アカモノは、一般的に高さが10から30センチメートル程度で、良く分枝する小低木です。葉は互生しており、長さは約1から3センチメートルで、形状は卵形から広卵形です。葉は革質でつやがあり、葉縁には細かい鋸歯が見られます。また、葉の裏面には剛毛がまばらに生えており、若い枝や花柄、萼には赤褐色の長い毛が特徴的です。

花期は5月から7月にかけて訪れ、上部の枝の葉腋から花柄を出し、下向きに紅色がかった白い花を一つ実らせます。花の形は長さ6から8ミリメートルの釣鐘状で、花冠の先端は浅く5つに裂けて軽く反り返ります。特に萼の部分はあざやかな赤色をしており、この色合いが花全体の美しさを引き立てています。

果実は8月から10月にかけて熟成し、花が終わった後、萼が成長して果実を包み、直径6ミリメートルの球形の偽果となります。この偽果は赤色に変わり、食用として利用されることができます。ほんのり甘みのあるこの果実は、味わい深く、美味しいと評判です。

食用

アカモノの果実は食用として楽しむことができます。皮を剥くと中は白く、生で食べると甘酸っぱい味わいが特徴です。また、果実は果実酒やジャムに加工されることもあり、その美味しさを多くの人に提供しています。自然の中で育ったこの実は、四季折々の風景の中で楽しむこともでき、山の恵みとして重宝されています。

参考文献

• - 高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、192頁。
• - 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、222頁。

関連項目

• - 高山植物
• - シラタマノキ

自然の中で控えめに育つアカモノ。その果実は、自然の恵みを感じる一品です。

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