アキノハハコグサ

アキノハハコグサ

アキノハハコグサ（秋の母子草、学名: Pseudognaphalium hypoleucum）は、キク科のハハコグサ属に分類される一年草または越年草の一種です。この植物は主に日本の本州から九州、さらに朝鮮半島や中国、東南アジア、インドに広く分布しています。特に乾燥した山地の環境を好むため、野生の姿を観察するにはそうした場所に足を運ぶ必要があります。

特徴

アキノハハコグサは、草丈が30-60cmになる一年生の草本です。茎は上部で分岐し、全体に白い綿毛が見られるのが特徴です。葉は披針形で、長さ4-5cm、幅が2.5-7mmほどあります。観察すると、葉の上面は緑色で、裏面は白い綿毛に覆われています。葉の基部は耳形をしていて、茎を抱えるように形成されています。花期は9月から10月にかけてで、茎の先端には淡い黄色の多くの頭花が咲き乱れる様子が見られます。これらの花々は、秋の風景の中で目を引く存在となっています。

分類

日本には同属のハハコグサもあり、アキノハハコグサと非常に似ています。しかし、それらにはいくつかの明確な違いがあります。ハハコグサは葉の両面に毛があり全体的に白っぽく、茎は基部から分岐し先端部分ではほとんど分かれないのに対し、アキノハハコグサの葉は裏面だけに毛があり、茎は上部でよく分岐する特徴を持っています。

保全状況評価

環境省のレッドリストでは、アキノハハコグサの保全状況が絶滅危惧IB類 (EN) と評価されています。2000年までの環境省レッドデータブックでは、同様に絶滅危惧IB類に選定されていましたが、2007年に絶滅危惧II類と評価が見直されました。さらに、2012年には再び絶滅危惧IB類に戻されたため、その生息状況は常に厳しいとされています。

生育環境と流通

この植物は特に乾いた山地に生息しており、こうした生育環境が限られているため、その数は急激に減少している可能性があります。したがって、自生地の保護や研究が重要視されています。アキノハハコグサを観察することで、生態系や環境の変化についても学ぶことができるでしょう。

参考文献

アキノハハコグサに関する詳細な情報は、以下の文献をもとに理解を深めることができます。

• - 北村四郎、村田源・堀勝『原色日本植物図鑑　草本編』 I（改訂60刷）、保育社、1957年。
• - 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物　草本III 合弁花類』、1981年。
• - 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花（増補改訂新版）』、2013年。
• - 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年。

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