アグアカリエンテ競馬場

アグアカリエンテ競馬場の歴史と変遷

アグアカリエンテ競馬場（アグアカリエンテけいばじょう）は、メキシコのバハ・カリフォルニア州ティフアナに存在する競馬場であり、現在は主にドッグレースとカジノとして知られています。この競馬場は、かつてサラブレッド競馬を行っていた歴史を有し、特にアグアカリエンテハンデキャップとして名高い競走が開催されていました。

設立の背景

この競馬場の歴史は、1916年に遡ります。その年、元々のティフアナ競馬場が建設されました。この地はアメリカ合衆国との国境に位置しており、加州で賭博が禁止された結果、カリフォルニア州の競馬関係者やファンが国境を越えてこの地に集まりました。その影響もあり、ティフアナ競馬場はすぐに賑わいを見せました。最初の施設は国境近くにありましたが、その後洪水に見舞われ、大きな損害を受けて街の中心部に移設されることとなりました。

設立当初の競馬場は、設備が非常に劣悪で「屋外便所」と呼ばれるほどでしたが、モービルスターティングゲートや写真判定装置、安全ヘルメットなど、当時としては画期的な制度や設備を導入しました。しかし、1920年代末に再び洪水の影響を受け、競馬場は壊滅的な被害を被ることになりました。

アグアカリエンテ競馬場の開設

アグアカリエンテ競馬場は、代替施設として1929年にオープンしました。この新たな競馬場は、アグアカリエンテカジノ・アンド・ホテルとともに建設され、多くの資産家からの資金を集めて興隆しました。禁酒法時代のアメリカで、賭博や飲酒を楽しむために訪れたアメリカ人たちがこの施設の利用者の大多数を占めました。

最も著名な競走、アグアカリエンテハンデキャップは、当時の最高賞金総額10万ドルを提供し、多くの競走馬を惹きつけました。1932年にはオセアニア最強馬ファーラップが出走し、印象的な勝利を収めています。

衰退と再興

しかし1934年、メキシコのラサロ・カルデナス大統領の政策により賭博が禁止となり、アメリカで競馬産業が再び合法化されたことが影響を及ぼしました。これにより、アグアカリエンテ競馬場は衰退し、1936年には売却されることになります。1940年には賭博が再合法化され、スターホースシービスケットが招聘されてアグアカリエンテハンデキャップが復興しましたが、競馬場の活気はなかなか戻りませんでした。

1958年に開催されたラウンドテーブルのレースを最後に、競馬は中止となり、1971年には火災でスタンドが焼失しました。その後、再建はされたものの、競馬の競走は廃止され、現在は主にグレイハウンドレースが行われています。また、場外馬券やスポーツ賭博が可能な施設としての利用が増えています。

波乱に富んだ歴史を持つアグアカリエンテ競馬場は、ティフアナの観光地としても多くの訪問者に親しまれています。

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