アグスタウェストランド AW159

アグスタウェストランド AW159 リンクス・ワイルドキャット

アグスタウェストランド AW159 リンクス・ワイルドキャットは、イギリスで開発された双発の中型ヘリコプターです。この機体は、イギリス陸海軍のリンクス・ヘリコプターを更新するための計画に基づいています。元々、フューチャーリンクスというプロジェクト名で知られていましたが、正式名としてリンクス・ワイルドキャットが定まったのです。

背景と開発

リンクス・ワイルドキャットの開発は、2001年にさかのぼります。当時、イギリス陸軍と海軍はそれぞれのリンクス・ヘリコプターの刷新を望んでいました。この計画には、BLUH（Battlefield Light Utility Helicopter）とSCMR（Surface Combatant Maritime Rotorcraft）という名称が付けられました。2003年から2004年にかけて、両軍の機体を共通化する取り組みが始まり、アグスタウェストランド社が開発していたフューチャーリンクスが正式に選ばれることになりました。

特に、既存のスーパーリンクス300をベースに、より高い性能を持つ機体として進化させられていきました。イギリス海軍は、過去にアグスタウェストランドが開発したAW101が大きすぎるとの理由で却下し、同社のフューチャーリンクスを採用しました。2006年にイギリス国防省より採用が正式に発表され、初号機は2007年に製作を開始し、2009年には初フライトが実現しました。

このヘリコプターは、スーパーリンクス300を基本にしつつ、ローターブレードなどの各部に軽量の複合材料が使用されています。また、搭載されているエンジンは同系列のCTS800-4Nであり、アビオニクスも大きく改良が施されています。特に海軍仕様は、戦術データリンクを組み込むなどの先進技術を有しています。

バリエーションと運用

リンクス・ワイルドキャットには、主に以下の2つのバリエーションがあります。

• - ワイルドキャット AH.1: 陸上での運用を想定した汎用機で、主に地上部隊の支援任務に従事します。
• - ワイルドキャット HMA.2: 海上での作戦を念頭に置いた艦載機型で、レーダーを装備し、海洋監視や対潜任務、災害救助活動にも対応できます。

イギリス陸軍航空隊ではAH.1型が運用され、海軍でも825海軍飛行隊や847海軍飛行隊がそれぞれの型を担当しています。さらには、海外の軍隊でもこの機体が採用されています。たとえば、大韓民国海軍は8機のオーダーを出し、フィリピン海軍も同機を導入する意向を示しています。

性能と特性

このヘリコプターは、最大離陸重量6,000kg、乗員2名、兵員7名を搭載可能です。全長は15.22m、全高は3.73mで、ローター直径は12.80mです。最大速度は296 km/hで航続距離は963 kmに達し、高性能を誇ります。また、実用上昇限度は、地面効果下で3050m、通常の飛行場面では1580mとされており、高高度での運用能力も持っています。

このように、アグスタウェストランド AW159 リンクス・ワイルドキャットは、現代の防衛ニーズに応じた優れた機体として、多国籍での運用が期待されるヘリコプターです。

もう一度検索