アゲシラオス (政治家)

アゲシラオスの生涯と政治的役割

アゲシラオス（古希: ἈγησίλαοςΒ', Agesilaos）は、紀元前3世紀にスパルタで活躍した政治家です。彼は、紀元前245年に王位に就いたアギス4世の母、アゲシストラタの弟であり、アギスの母方の叔父でもありました。アゲシラオスは、非常に洗練された弁舌の持ち主でしたが、反面、内気な性格であり、強い金銭欲を持つ人物でもありました。

アギスが負債の帳消しと土地の再分配を提唱し、リュクルゴスの時代の健全な国政の復古を目指す改革に取り組む中で、アゲシラオスは自身の債務を免れるために彼を支持することになります。彼はアゲシストラタに改革への協力を説得し、紀元前243年にはアギスと共に民衆の前でその意義を訴えました。

彼の支持を得て、アギスの改革は進展。しかし、翌紀元前242年には、アギスと共同統治していたもう一人の王、レオニダス2世が彼の一派によって廃位される事態が発生しました。この際、アゲシラオスはテゲアに逃れようとしたレオニダスを殺そうとしましたが、アギスの命令で護送されたため、彼の計画は失敗に終わります。

その後、アゲシラオスは広大な土地を有していたものの、借金を返済する財力も意欲もなく、アギスに債務取り消しを先に行うよう提言しました。この提案は受け入れられたものの、いざ土地の再分配の段になった際には、アゲシラオスは様々な妨害行為を行い、再分配を遅延させることに成功しました。

アギスがアカイアからの援軍要求のために出征する際、アゲシラオスは監督官として留守を任されますが、その隙をついて必要のない閏月を設定し、過剰な税金を徴収するようになりました。この無法行為により、彼は多くの敵を作り、さらには自身の保護のために護衛隊を組織する事態に陥ります。

彼の悪事に耐えかねた対立者たちは、レオニダスを復位させる決断を下しました。紀元前241年、復位したレオニダスはアゲシラオスの排除に取り掛かります。彼自身は捕らえられましたが、評判の良い息子ヒッポメドンの取り成しにより、命を救われました。その後のアゲシラオスの行動や生涯については記録がなく、詳細は不明です。

註

参考文献：プルタルコス著、村川堅太郎他訳『世界古典文学全集　プルタルコス』、筑摩書房、1966年

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