アサシン (競走馬)

アサシン (Assassin、1779年 - 1794年) は、18世紀末のイギリスで活躍した競走馬として知られています。その名を歴史に刻んだのは、彼が制した第3回ダービーステークスです。1789年、サム・アーナル騎手とのコンビで優勝の栄冠を掴みました。2着にはスイートロビン (Sweet Robin)、3着にはフォーチュニオ (Fortunio) が続きました。所有者はエグリモント卿、調教師はフランク・ニールでした。

当時のダービーステークスは、現代とは異なる芝8ハロンという距離で行われており、現在の様な高い格付けのレースではありませんでした。しかしながら、賞金は非常に高く、同時期に行われていたセントレジャーステークスの約4倍に当たる1,155ポンドもの賞金が用意されていた点に注目すべきでしょう。これは、当時の競馬においてダービーステークスの高い人気と経済的な価値を示しています。

ダービーステークス優勝という輝かしい実績の後も、アサシンは活躍を続けました。翌年には、ニューマーケット競馬場で行われた300ギニーという高額賞金のマッチレースに出走し、強豪ポテイトーズを破るという快挙を成し遂げています。この勝利は、アサシンの能力の高さを改めて証明するものでした。

競走馬としてのキャリアを終えたアサシンは、種牡馬となりました。しかしながら、種牡馬としては期待されたほどの成功を収めることができず、その血統は現在では非常に稀少なものとなっています。母系を辿るにしても、かなり深くまで遡らないとアサシンの血統を見つけるのは困難です。

アサシンの血統背景にも注目しましょう。父はスイートブライアー (Sweetbriar) で、エクリプス (Eclipse) を介さないダーレーアラビアン傍系に属します。一方、母はアンジェリカ (Angelica) であり、3号族に分類されます。興味深いことに、セントレジャーステークスの勝ち馬であるSpadilleとYoung Floraは、アサシンの甥と姪にあたります。これらの血統的繋がりは、アサシンの能力や競走馬としての素質を考える上で重要な要素と言えるでしょう。

アサシンの生涯は、18世紀末のイギリス競馬の歴史を語る上で欠かせないものです。ダービー優勝という栄光、マッチレースでの勝利、そして種牡馬としての道のり、そのすべてがアサシンの名を後世に伝えています。彼の血統は希少なものとなりましたが、その活躍は競馬史に刻まれた重要な一ページとして、長く記憶されることでしょう。現代の競馬ファンにとって、アサシンは過去の名馬を知る上で貴重な存在であり、その生涯を知ることは、競馬の歴史への理解を深めることに繋がります。

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