3号族

サラブレッドの3号族（Family 3）：その歴史と名馬たち

サラブレッドの血統において、3号族（Family 3）という特別なグループが存在します。その起源は17世紀後半、ボーズ・メア（Bowes Mare、1695年頃生）という牝馬に遡ります。ボーズ・メアはバイアリーターク産駒であり、その母は不明ですが、「バイアリー・ターク・メア」や「ダム・オブ・ザ・ツゥ・トゥルーブルー（二頭のトゥルーブルーの母）」などとも呼ばれています。ミトコンドリアDNA分析の結果、この系統はD2系統に分類されています。

3号族という分類は、ブルース・ロウが提唱しました。彼は当時までのダービーステークス、オークス、セントレジャーステークスの勝利数を基に、この牝系を3番目に多いとしたのです。興味深いことに、2006年には別の牝系である2号族と勝利数で並びました。ロウは自身の著書『フィガーシステムによる競走馬の生産』において、この3号族を競走族と種牡馬族の両方に分類している点が特筆されます。

この牝系からは、数々の伝説的なサラブレッドが輩出されています。その代表的な例として、サイテーション、サーピーターティーズル、ザフライングダッチマン、ストックウェル、ガロピン、ラフレッシュ、アイシングラス、ブランドフォード、サンチャリオット、サンタクロース、サンデーサイレンス、ダンシングブレーヴ、ナシュワン、トムフールなどが挙げられます。これらの馬は、競馬の歴史に輝く偉大な功績を残し、現代サラブレッドの血統に多大な影響を与えています。

日本においても、3号族は重要な役割を果たしています。小岩井農場の基礎輸入牝馬であるフロリースカツプとその子孫は、日本競馬に大きな足跡を残しました。その子孫には、コダマ、スペシャルウィーク、シスタートウショウ、マチカネフクキタル、ウオッカ（シラオキ一族）、マツミドリ、キタノカチドキ、リードスワロー、ニホンピロウイナー、サンドピアリス、カツラノハイセイコなど、数多くの活躍馬が含まれています。さらに、ダイアナソロンやクモワカから続く系統（ワカクモ、テンポイント一族）も、日本競馬に貢献した重要な血統です。

3号族は、その長い歴史の中で、常にサラブレッドの改良に貢献してきました。多くの名馬を生み出し、世界中の競馬界に多大な影響を与えてきたこの牝系は、今後もその血統を継承していくサラブレッドたちによって、さらなる発展を遂げていくことでしょう。その歴史と功績は、競馬ファンにとって永遠に語り継がれるべきものと言えるでしょう。

参考文献

Hill EW, Bradley DG, Al-Barody M, Ertugrul O, Splan RK, Zakharov I, Cunningham EP (2002). “History and integrity of thoroughbred dam lines revealed in equine mtDNA variation”. Animal Genetics 33: 287–294. PMID 12139508.
Thoroughbred Heritage
原田俊治『馬の文化叢書10 「競馬 - 揺籃期のイギリス競馬」』財団法人馬事文化財団、1995年
デニス・クレイグ（佐藤正人訳）『競馬 サラブレッドの生産および英国競馬小史』中央競馬ピーアール・センター、1986年

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