アジア・アフリカ会議

アジア・アフリカ会議（バンドン会議）

アジア・アフリカ会議は、1955年にインドネシアのバンドンで開催された国際会議であり、特に第1回会議は「バンドン会議」として知られています。この会議には、インドのネルー首相、インドネシアのスカルノ大統領、中国の周恩来首相、エジプトのナセル大統領など、アジア・アフリカの29カ国から代表団が参加しました。これらの国々の多くは、第二次世界大戦後に欧米列強の植民地支配から独立を果たしたばかりであり、当時の世界人口の54%を占めていました。

バンドン会議の背景

バンドン会議の開催に至るまでには、1954年にインドと中国が発表した平和五原則が重要な役割を果たしました。同年、コロンボで開催された会議で、アジア・アフリカ会議の構想が具体化し、インドネシアが開催を提唱しました。この準備会合を経て、1955年にバンドンでの本会議開催に至りました。会議には、中華民国や朝鮮半島、モンゴルは招待されず、会議直前には周恩来首相の暗殺を狙ったとされる事件も発生しました。

バンドン会議の意義

バンドン会議は、反帝国主義、反植民地主義、民族自決の精神を掲げ、アメリカとソ連のいずれの陣営にも属さない第三世界の立場を確立しました。会議では、「世界平和と協力の推進に関する宣言」が採択され、平和十原則が定められました。これは、基本的人権の尊重、主権の尊重、内政不干渉、武力行使の否定などを盛り込んだもので、国際社会における平和と協力の指針となりました。しかし、その後、参加国間の対立や指導者の失脚などにより、第2回会議は開催されませんでした。しかし、その精神は、後の非同盟運動に引き継がれました。

日本の参加

日本は、パキスタンの提案により会議に招待されました。当時の日本は、アメリカ陣営に属していたため、会議の政治的議論からは距離を置き、経済関係の再構築に重点を置きました。高碕達之助経済審議庁長官が代表として参加し、中国の周恩来首相との間で戦後初の日中会談も行われました。この会談は、後の日中関係発展の契機となりました。

バンドン会議の記念会議

2005年にはバンドン会議50周年記念会議が開催され、アジア・アフリカ諸国に加え、ラテンアメリカ諸国も参加し、参加国は106カ国に増加しました。会議では、帝国主義的なグローバリゼーションに対抗する新しい連帯が宣言されました。日本の小泉純一郎首相は、村山談話を引き継ぐ声明を発表しました。

2015年には、バンドン会議60周年記念会議がジャカルタで開催され、109カ国が参加しました。この会議では、日中首脳会談が実現し、関係改善に向けた動きが見られました。日本の安倍晋三首相は、戦後の平和主義を強調し、アジア・アフリカ諸国との協力の重要性を訴えました。しかし、韓国からは、植民地支配に関する謝罪の言葉がなかったとして、批判を受けました。

記憶遺産

2015年、バンドン会議で採択された「世界平和と協力の推進に関する宣言」の原本と関連資料が、ユネスコ記憶遺産に登録されました。

まとめ

アジア・アフリカ会議（バンドン会議）は、冷戦時代における第三世界の台頭を象徴する重要な会議でした。植民地支配からの解放、民族自決、平和と協力という理念は、現代社会においても重要な意義を持っています。会議の精神は、非同盟運動や、その後の国際協力の枠組みに大きな影響を与えました。

もう一度検索