アジア太平洋国際大学

アジア太平洋国際大学（Asia-Pacific International University）

アジア太平洋国際大学は、タイ王国にある私立のキリスト教系大学です。セブンスデー・アドベンチスト教会東南アジアユニオンミッションによって運営されており、同ミッションにおける唯一の高等教育機関としての役割を担っています。以前は「ミッションカレッジ」という名称でしたが、2009年に大学として認可され、現在の名称に変更されました。

大学の設立

この大学は、3つの教育機関が統合されて設立されました。その3つとは、シンガポールの東南アジアユニオンカレッジ、タイのアドベンチスト病院看護学校、そしてミッションカレッジ（ムワックレック・キャンパス）です。また、大学にはエレン・G・ホワイト・ヘリテイジリサーチセンターと翻訳言語リサーチセンターという2つの付属研究機関があります。特に翻訳言語リサーチセンターでは、モン族やカレン族といった少数民族の言語に関する資料の翻訳に力を入れています。

歴史

東南アジアユニオンカレッジ

大学の前身となった3つの教育機関の中で最も古いのが、東南アジアユニオンカレッジ（Southeast Asia Union College：SAUC）です。このカレッジは、セブンスデー・アドベンチスト教会の宣教師であったG・F・ジョーンズが、シンガポールに設立したシンガポール訓練学校（中等教育）に起源を持ちます。1920年代初頭には、訓練学校はアッパー・セラングーン・ロードに移転し、1990年代末まで運営されました。

1950年代には高等教育を開始し、1956年に短期大学（ジュニア・カレッジ）に昇格。2年間の牧師訓練プログラムを導入し、その後、教育と経営プログラムも導入しました。1960年代に入ると、小規模なリベラルアーツカレッジに成長し、教育学と神学の学士課程を提供するようになり、学生数も増加しました。しかし、当時は政府の基準を満たしておらず、大学としての認可は下りていませんでした。そのため、教育施設や資産を拡充し、海外のアドベンチスト系大学との提携を模索しました。1984年にはアメリカのワラワラ大学と提携し、アメリカの公認大学の学位プログラムを提供し始めました。1990年代中ごろには、経営、コンピュータ情報システム、オフィス行政、宗教、英語教授法など、提供する学位の種類を増やしました。

1996年、シンガポール政府が都市交通開発のために大学の土地を収用することを通達したため、カレッジは移転を余儀なくされました。1998年7月には在校生を他の教育機関へ編入させ、シンガポールでの教育活動を終えました。動産の一部は売却し、残りはタイのサラブリー県ムワックレックキャンパスに移転しました。

ミッションカレッジ・看護学校

1937年、バンコクでの病院建設が政府に認可され、プラッププラーチャイ五叉路にアドベンチスト病院が建設されました。その後、1941年にバンコクアドベンチスト看護学校の建設計画が進められましたが、第二次世界大戦によって開校は延期されました。1945年に終戦を迎え、医療活動を再開し、1946年にアドベンチスト病院をドゥシット区に移転しました。その翌年、エレン・ワーデール看護婦長とルース・モンロー看護学校長の主導で、病院内に看護学校が設立されました。学校のミッションは、「適切な訓練、看護士の育成、若者たちへの神の愛の伝授」でした。1950年代の初期には、医療技術、X線技術、麻酔技術の各コースに続き助産コースも開設されましたが、後にカリキュラムの変更に伴い閉鎖されました。1967年には卒業生向けの寮と助産クリニックを開設し、助産教育は基礎看護プログラムに組み込まれていきました。1958年には新校舎が開館し、カレッジはタイ王室の庇護を受けることになりました。

1980年代には、タイ政府の看護士の専門性向上の方針に応え、1986年に4年制看護科学学士コースが設立され、1988年にはミッションカレッジに改称されました。1990年には、ムアックレックキャンパスに1年次、2年次教育が移転しました。2000年までに、1,000人の看護師が卒業しました。

ミッションカレッジ・ムワックレックキャンパス

ムワックレックキャンパスは、若いタイのアドベンチスト教徒の教育のために、タイ国アドベンチスト教会と協力して開発されました。1988年にミッションカレッジのバンコクサブキャンパスとして開設され、同時に無学位の牧師教育を行っていたタイ国アドベンチスト神学校が編入されました。

初期の開発は資金不足の中での難事業でしたが、教職員と学生が協力して施設を充実させていきました。新キャンパスの開発は、ヘレン・シュプレンゲル博士の協力を得つつ、ワイネ・ハムラが主導しました。1993年に教育省の認可を受け、1994年に最初の卒業生を送り出しました。

ミッションカレッジへの統合と刷新

1996年、東南アジアユニオンカレッジの閉校が決まると、教会主導層は移転に関する調査を行い、東南アジアユニオンカレッジの国際プログラムとミッションカレッジのタイ語プログラムを融合させ、ムワックレックに新しい国際教育機関を創設することを決定しました。

再編されたミッションカレッジは、看護プログラムとタイ語プログラムを維持しつつ、学部・大学院レベルで国際教育機関の基準に引き上げることを目指しました。大学格を得られるレベルまで教育レベルを引き上げ、東南アジアの国々にサテライトキャンパスを置く計画を立てました。1997年には新教職員と新教育プログラムが編成され、1999年初頭に最初の国際カリキュラムが政府の承認を受け、2001年初頭までに8つの国際プログラム専攻が承認されました。キャンパス設備も大幅に拡充され、1500人の学生を収容できる施設が建設されました。1997年から2001年までの再開発には、セブンスデー・アドベンチストの教育史上最大規模の投資が行われました。教会代表のロビン・リッチズ牧師が財政支援を行い、シリポーン・タンティプーンウィナイ博士が学長に、ウォン・イェウチョン博士が副学長に就任し、教育プログラムの作成に尽力しました。2002年7月には、校舎とキャンパスの整備計画が完了しました。

アジア太平洋国際大学へ

2009年6月30日、タイ王国教育省大臣チュリン・ラクサナウィシットが、カレッジを大学として認可し、アジア太平洋国際大学に改名しました。

教育

大学は6つの学部で構成されています。

美術人文学部
経営学部
教育・心理学部
看護学部
宗教学部
理学部

国際プログラムでは、英語を授業言語として使用し、一定の条件を満たした国際学生とタイ人学生が受講できます。

学士課程では、経営、生物、看護、教育、宗教教育、神学などを学ぶことができ、英語教授法のオプションも用意されています。また、世界規模のセブンスデー・アドベンチスト教育システムに組み込まれており、アメリカやオーストラリアの大学・カレッジと編入協定を結んでいます。

大学院課程では、修士課程とディプロマコースを提供しており、教育学修士課程 (TESOL) はオーストラリアのアヴォンデールカレッジとの提携で提供されています。タイ語プログラムでは、国際プログラムと同様の学位（「教育」を除く）が授与されますが、授業使用言語が異なります。看護学士プログラムは、英語とタイ語の両方で提供されます。

出版物

大学では週刊ニュースレター『Newsbyte』を発行しており、さらに2つの学部がそれぞれ『Catalyst』（神学）と『The Scriptor』（美術人文学科）というジャーナルを発行しています。

提携教育機関

サザンアドベンテスト大学（アメリカ合衆国）
ワラワラ大学（アメリカ合衆国）
グリッグズ大学（アメリカ合衆国）
ラ・シエラ大学（アメリカ合衆国）
ロマ・リンダ大学（アメリカ合衆国）
ワシントン州立大学（アメリカ合衆国）
アヴォンデールカレッジ（オーストラリア）
ジェームズ・クック大学（オーストラリア）
三育大学校（韓国）
文藻外語学院（台湾）
ベトナム国家大学ホーチミン市校情報工学大学（ベトナム）

関連項目

セブンスデー・アドベンチスト教会

外部リンク

* アジア太平洋国際大学公式ページ

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