アジリサウルス

アジリサウルスについて

アジリサウルス（英: Asilisaurus）は、三畳紀中期のアニシアン時代、約2億4100万年から2億4000万年前に生息していた鳥類型主竜類の一種です。発見された地域は、タンザニア南部の地層で、化石は非常に良好な状態で保存されています。アジリサウルスは恐竜ではなく、恐竜との共通祖先から最も新しく分岐したグループのメンバーとして位置づけられています。

その属名はスワヒリ語の「asili」（原始的な、基礎の）と古典ギリシャ語の「σαυρος」（竜やトカゲ型動物）から由来しており、日本では「アジリサウルス」と表記されることが多いですが、実際の発音は「アシリサウルス」に近いのです。

特徴

アジリサウルスはシレサウルス（Silesaurus）との比較により、最大で全長2から3メートル程度であったと推測されています。特徴的な葉状の歯を持ち、くちばし状の下顎と細長い四肢を備えています。これらの形状から、アジリサウルスは四足立位（quadrupedal）での移動を行っていたと考えられ、主に植物を食べていたと予測されています。

2007年から2010年にかけて、14個体分の化石が発掘され、多くは亜成体であると判断されています。アジリサウルスは恐竜類とシレサウルス類という、主竜類の中でも近縁なグループに属していますが、恐竜の系統に関連する形質を多く保持し、両者の共通祖先の特徴を示しています。これにより、アジリサウルスは恐竜の進化過程を理解するために重要な生物とされています。

進化の意義

興味深いことに、現在知られている最古の真恐竜類は約2億4000万年前のものですが、その時期までに発見されているシレサウルス類とは異なる点が多く存在しています。それゆえ、多くの特徴は恐竜系統で独立して進化したと考えられてきました。特に、鳥頸類（鳥類系主竜類）に関しては、未発見の化石により比較可能な資料が少なかったため、その進化の過程は不明確でした。

さて、アジリサウルスの発見はこの状況を一変させました。非常に保存状態の良い化石が見つかったことにより、鳥類特有だと思われていた多くの形質が実はもっと古い主竜類から既に獲得されていたことが明らかになったのです。これが示すのは、主竜類の多様性が三畳紀中期あるいはそれ以前から始まっていた可能性があるということです。

アジリサウルスはまた、恐竜を含む主竜類全体の進化を探求する際に、非常に重要な手がかりとなる生物です。その存在は恐竜の進化と適応戦略の理解に寄与し、主竜類の多様性への洞察を与えてくれます。

参考文献

• - Nesbitt, S.J., et al. (2010) “Ecologically distinct dinosaurian sister group shows early diversification of Ornithodira”. Nature, 464: 95-98.

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