アスカリ・KZ1

アスカリーKZ1：究極のハンドメイドスーパーカー

アスカリー・KZ1は、イギリスのアスカリー・カーズ社によって生み出された、希少価値の高いスーパーカーです。2001年、同社がイギリス・バンベリーに新工場を設立したのを機に開発が開始され、2003年に販売が開始されました。

KZ1の最大の特徴は、その圧倒的な希少性です。340時間以上もの時間をかけ、熟練の職人が一台一台丁寧に手作業で組み上げるため、生産台数はわずか50台に限定されました。当時の価格は23万5,000UKポンドと、非常に高価なスーパーカーでした。

パワートレインには、BMW M5（E39型）に搭載されていた4.9リッターV型8気筒DOHC32バルブエンジンがミッドシップに搭載されています。さらにアスカリー社の手によってチューニングが施され、最高出力500PS、最大トルク500Nmという驚異的なパワーを生み出します。また、潤滑方式にはドライサンプ方式を採用することで、高性能エンジンの安定した動作を実現しています。トランスミッションは6速マニュアルトランスミッションと組み合わせられ、ドライバーはダイレクトな操作感を楽しむことができます。

ボディは軽量かつ高剛性のカーボンファイバー製モノコック構造を採用。これにより、優れたハンドリングと高速走行時の安定性を両立しています。さらに、KZ1を購入した顧客には、アスカリー社の関連会社がスペイン・ロンダで運営する「アスカリー・レース・リゾート」のサーキットを走行できるという特別な特典が提供されました。これは、オーナーが自身のKZ1を思う存分堪能できる、魅力的なサービスとなっています。

モータースポーツへの挑戦

アスカリー・KZ1は、公道を走るスーパーカーとしての側面だけでなく、モータースポーツの世界でもその存在感を示しました。

2002年には、ジャッド製4.0リッターV型10気筒エンジンを搭載したKZ1Rが、「チーム・アスカリー」としてル・マン24時間レースに参戦しました。しかしながら、結果はリタイヤという悔しい結果に終わりました。

その後、2003年にはFIAスポーツカー選手権にワークス参戦。さらに2006年からは、イギリスのレーシングチーム「ダマックス」と「ベルランガ」がKZ1Rを駆り、FIA GT選手権のサポートレースであるFIA GT3ヨーロッパ選手権に参戦し、その戦闘能力を披露しました。

アスカリー・KZ1は、限られた数の選ばれたオーナーだけが所有できる、まさに究極のハンドメイドスーパーカーです。その稀少性、圧倒的な性能、そしてモータースポーツでの活躍と、多くの魅力を兼ね備えた一台と言えるでしょう。高度な技術と情熱が注ぎ込まれたKZ1は、自動車史上に燦然と輝く、特別な存在感を放っています。

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