ジャッド

ジャッド (Judd) の歴史と特徴

ジャッド（Judd）は、イギリスのエンジン製造会社「Engine Developments Ltd.」によって開発されるレース用エンジンのブランドで、1971年にジョン・ジャッドとジャック・ブラバムの2人によって設立されました。設立以来、ジャッドは自社のエンジンを通じて、モータースポーツの世界に多大な影響を与え続けています。特に1980年代にはフォード・コスワース・DFVエンジンのチューナーとして知られ、多くの競技に貢献しました。

チューニングと初期開発

ジャッドは、設立当初から1980年代前半にかけてフォード・コスワース・DFVエンジンのチューニングを手掛けました。この時期、F2においてはホンダエンジンを使用するラルトチームのロン・トーラナックとの関係構築により、ホンダエンジンのチューニングやリビルドを1981年から始めました。これにより、ジャッドは特定のエンジンに対する専門的な知識を深める機会を得ました。

1980年代の半ばには、DFVエンジンの競争力が減少する中で独自のエンジン開発に着手し始めます。特に、1983年に2.65LのV8ターボエンジンをホンダと共同開発し、このエンジンは後に「ジャッドAV」と名付けられました。ホンダが開発から撤退した後、このエンジンは「ブラバム・ホンダ」の名称でCARTに参戦し、成功を収めました。

F1進出とエンジンの革新

ジャッドは1988年にF1への進出を果たします。ターボエンジンに対する規制が強化される中で、ジャッドは既存の「ジャッドBV」をベースに排気量を拡大し、「ジャッド・CV」として参戦を開始。ウィリアムズやリジェ、マーチといったチームにエンジンを供給しました。翌年にはVバンク角を76度に狭めた「ジャッド・EV」を開発し、レイトンハウス（マーチ）に供給しています。

1991年には、初のV10エンジン「ジャッド・GV」を開発し、これをスクーデリア・イタリアに供給。このエンジンは1992年には他のチームにも供給され、その後も1997年までヤマハとの提携を通じてF1へも影響を与えました。ヤマハとの関係を通じて、ジャッドはF1の中で重要な役割を果たしました。

多彩なレースシーンでの活躍

ジャッドのエンジンはF1だけでなく、ル・マン24時間レースといったスポーツカーレースにも使用されました。1992年には、マツダ・MX-R01に「ジャッド・GV」をベースとしたエンジンを搭載し、その後も多くのプライベーターによってジャッドエンジンが使用されています。特に、童夢とワコールが共同開発したスポーツカー、ジオット・キャスピタにもジャッド・GVが搭載されています。

2012年からはグループ・ロータスとの協力のもと、インディカー・シリーズへのエンジン供給を開始しましたが、パフォーマンスの問題から1年で撤退する結果となりました。

おわりに

ジャッドは、その革新性と技術力により、レーシングエンジンの分野で長い歴史を持つ企業となりました。彼らのエンジンは多様な大会での競技に挑戦し、数多くの成功を収めてきました。ジャッドの今後にも引き続き注目が集まります。

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