アスカル・アカエフ

アスカル・アカエビッチ・アカエフについて

アスカル・アカエビッチ・アカエフは、1944年11月10日にキルギス共和国（当時はソビエト連邦）のケミンスキー地方キジルバイラクで生まれました。彼の家系には18世紀の有力部族長アタケ・ビーの血を引く父とカザフ人の母がいます。アカエフが政界に進出したのは1990年以降で、それ以前はエンジニアと教育者として活躍していました。

1967年、彼はレニングラード精密光学機械大学を卒業し、数学、機械工学、計算機工学の学位を取得しました。それから数年後、1981年にはモスクワ理工大学から工学博士号を受け、1977年からはフルンゼ（現ビシュケク）の理工科大学で教鞭をとりました。彼は1987年にはキルギス科学アカデミーの会員となり、1989年から1990年には同アカデミーの総裁を務めました。

大統領としてのキャリア

1990年7月には、ソ連共産党第28回大会で中央委員会のメンバーに選出されました。その後、同年10月にはオシュ州での民族紛争に対処できなかったキルギス共産党第一書記アブサマト・マサリエフを退け、共和国最高会議によってキルギスの大統領に選出されました。1991年には再選され、その後も1995年、2000年に再選を果たしていますが、1995年以降の選挙では不正の疑惑が持たれるようになります。

アカエフは就任当初、改革派政治家として知られ、1991年の保守派によるクーデターに反対しました。独立後は国内での言論の自由を保障し、政権に逆らう勢力に対しても比較的寛容な姿勢を見せていました。しかし、次第に土地や利権の強奪が始まり、より強権的な政治手法へとシフトしていくこととなります。このため、国内外から厳しい非難を浴びました。

2001年6月、アカエフはロシアや中華人民共和国などと共に上海協力機構を結成し、その後の12月にはアメリカの対テロ戦争を支持する形で、マナス国際空港に米軍基地を置くことを認めました。

チューリップ革命

2005年には任期切れを迎えるものの、後継者に自身の子供を据えて権力の世襲を狙っているのではないかという噂が立ちます。同年3月の議会選挙での不正が明らかになり、チューリップ革命が勃発しました。この反政府運動は主に南部で始まり、次第に首都ビシュケクにも波及しました。3月24日、野党勢力は大統領府を占拠し、翌日にはアカエフがカザフスタンに逃亡したと報じられました。

最初、アカエフは退陣を拒否しましたが、4月2日に暫定政権のテケバエフ国会議長との会談を経て、最終的に辞任する意向を示します。そして、4月3日には正式に大統領を辞任したことを発表し、その後ロシアに亡命することとなりました。彼の政権には複雑な課題が伴い、アカエフの政治的軌跡は、キルギスの歴史において重要な位置を占めています。

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