アスタウンディング新人賞

アスタウンディング新人賞とは

アスタウンディング新人賞（Astounding Award for the Best New Writer）は、過去2年間にプロフェッショナルな出版物でデビューしたSFやファンタジー作家の中から、最も優れた新人作家を選出・表彰する prestigedな賞です。この賞のスポンサーは、アナログ誌（以前のアスタウンディング誌）を出版しているDell Magazinesです。

運営と授賞式の概要

この賞の候補者の選定や受賞者の決定は、世界SF協会（World Science Fiction Society、WSFS）が管理しています。実際の運営はその年のワールドコンの運営委員会が担当し、毎年開催されるワールドコンでのヒューゴー賞授賞式と同時に行われます。ただし、アスタウンディング新人賞はヒューゴー賞の一部ではありません。

候補者の推薦と選考プロセス

ワールドコンに参加した観客は、ヒューゴー賞と同様に候補者を推薦できます。1月から3月の間に予備投票が行われ、最終的に6人のノミネート作家を選出します。受賞者を決める本投票は、ワールドコンの開催時期により異なりますが、通常は4月から7月に実施されることが一般的です。

全世界どこで小説が発行されても、一定の公称発行部数を満たしていれば、その作家は候補になる可能性があります。候補者としての最終的な資格基準はWSFSによって決定されており、具体的には、1万部以上の書籍が販売され、単語当たり6セント、全体で50米ドル以上の対価を得ている作品を持つ作家が対象です。

歴史と評価

この賞は1973年から毎年授与されており、2012年までに167人の作家がノミネートされ、そのうち41人が実際に受賞しています。また、一度だけ2名が同時に受賞した例もあり、47人が2年連続でノミネートされていますが、その中で15人が2年目で受賞しています。

受賞者や候補者の作品は、1977年までの5年間はジョージ・R・R・マーティンが編集したアンソロジーシリーズ「New Voices」に収められ発表されました。1996年にノミネートされ、1997年に受賞したマイクル・A・バーンスタインは、この賞が書籍の売上には直接影響しなかったものの、著名な作家や編集者に名前を覚えられる良い機会になったと評価しています。受賞者が必ずしもその後のSF史に名を残すとは限らず、この賞が短期間で人気が出た作家に焦点を当てているとの批判もあります。

名称の変更

以前は「ジョン・W・キャンベル新人賞」と呼ばれていましたが、SF編集者で作家であるジョン・W・キャンベルの差別的な言動が問題視されたため、2019年に受賞者ジャネット・ウンがそのことに言及するスピーチを行った後、2020年に賞の名称から彼の名が外されました。

受賞者一覧

この賞は作家に対して与えられるもので、特定の作品を対象にしているわけではないため、公式記録にも作品名は掲載されていません。各年度の受賞者の中には、2年連続でノミネートされて2年目に受賞した者や、同時に得票が同点となり受賞した者もいることが特筆されます。

このように、アスタウンディング新人賞は新しい才能を発掘するための重要なプラットフォームとして、SF・ファンタジー文学界において評価されています。

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