アスタロト

アスタロト（Astaroth）

アスタロトは、ヨーロッパの伝承において知られる悪魔の一つです。彼は高位の悪魔とされ、アシュタロトやアステロトとしても知られています。また、日本語ではアスタロスやアシュタロスと表記されることがあります。

概要

悪魔学の文献で多く言及されており、著名な研究者や魔術書の中で彼の存在を確認できます。セバスチャン・ミカエリスやハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ、ヨハン・ヴァイヤーなどが著作内でラストロトについて触れています。アグリッパによれば、アスタロトはギリシャ語で「中傷者」と表現され、聖書のヨハネ黙示録に登場する「兄弟を告発する者」とリンクしています。彼は過去と未来を見通す能力を持ち、質問者に教養学を教えることができるとされています。また、彼は天使の創造や堕天の過程についても語るが、自分自身の意志で堕天したわけではないと述べています。

『黄金伝説』という13世紀の聖人伝説集には、アスタロトという異教の神像が登場します。この神像は病を治すと偽って信仰を集めていましたが、使徒バルトロマイが訪れた際に沈黙したとされています。

地位・階級

ヴァイヤーの著書『悪魔の偽王国』によると、アスタロトは40の悪魔軍団を率いる強力な大公爵とされています。『ゴエティア』というグリモワールでは、彼は72人の悪魔の一人として29番目に紹介されています。この文献や他の魔術書には多くの悪魔たちが登場しますが、アスタロトは特別に目立つ存在ではありません。しかし、別の文献『大奥義書』では彼をルシファーやベルゼビュートと同じく地獄の支配者の一人と記されています。

アグリッパの『隠秘哲学』では、彼は告発者または審問官として識別される第8位階の君主です。さらに、他の文献によると、アスタロトは怠惰を司る悪魔であり、対抗聖者は聖バルトロマイとされています。

容姿

アスタロトは、巨大なドラゴンやドラゴンに似た獣に乗り、右手に毒蛇を持つ天使の姿で描かれます。その口からは毒の息や耐え難い悪臭が放たれるため、近づくことは危険とされています。一部の文獻によれば、彼はロバの姿で現れることがあるほか、『真正奥義書』では黒白の人間の姿でも紹介されています。

起源

アスタロトに関する伝承には多くの背景があります。旧約聖書には異教の神アシュトレトが登場し、巴耳とのコンテクストで言及されています。この神は中東で広く信仰される豊穣神の形態とされ、メソポタミアのイシュタルやギリシアのアプロディーテーと同じ起源を持つと考えられています。ジョン・ミルトンの『失楽園』では、堕天使たちの紹介においてアシュタロトの名が挙げられています。アシュトレトが悪魔扱いされるようになった経緯には、エジプトで戦の神として表現されたことが影響を及ぼしたとも言われています。

このように、アスタロトは様々な悪魔学のテキストに登場し、彼の地位や役割、容姿の詳細が記されています。彼の存在は、古代の信仰や文化が多くの側面で交差していることを示しています。

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