バルトロマイ

バルトロマイ：イエスの使徒、そして殉教者

バルトロマイは、新約聖書に登場するイエスの十二使徒の一人です。日本正教会では「ワルフォロメイ」と呼ばれています。ギリシャ語のΒαρθολομαίος（Bartholomaeus）に由来するこの名は、「タルマイの子」を意味し、タルマイは裕福な地主を指す言葉でした。そのため、バルトロマイは本名ではなく、父の名に由来する呼び名だった可能性が高いと考えられています。

興味深いことに、共観福音書の使徒リストにはバルトロマイの名前が登場するものの、それ以上の記述はありません。一方、ヨハネによる福音書では、バルトロマイの名の代わりにナタナエルという人物が挙げられています。このことから、伝統的にバルトロマイとナタナエルは同一人物であるという説が有力視されています。

バルトロマイは、皮剥ぎの刑による殉教で生涯を閉じたと言われています。その悲劇的な最期は、ミケランジェロの傑作「最後の審判」にも描かれています。絵画の中で、バルトロマイは自ら剥がされた皮を持ち、ナイフを手にした姿で表現されています。この皮の顔は、ミケランジェロの自画像であるという説もあります。

バルトロマイの伝承は多岐に渡ります。エウセビオスやヒエロニムスといった歴史家によると、バルトロマイはインドに渡って布教活動を行ったとされています。また、タダイと共にアルメニアで宣教活動を行い、その地では現在も深く敬われています。アルメニア[[使徒教会]]は、自らを「タダイとバルトロマイによって建てられた教会」と自負しているほどです。バルトロマイの記念日は8月24日とされています。

世界各地におけるバルトロマイの名前

バルトロマイの名前は、時代や地域によって様々な表記が存在します。

バルトロマイオス（Βαρθολομαίος）: 古典ギリシャ語
ヴァルソロメオス（Βαρθολομαίος）: 中世・現代ギリシャ語
ヴァルフォロメイ（Варфоломей）: 教会スラヴ語・ロシア語
バルトロメウス（Bartholomaeus）: ラテン語
バルトロメオ（Bartolomeo）: イタリア語
バルトロメウ（Bartolomeu）: ポルトガル語
バルトロメ（Bartolomé）: スペイン語
バルテルミー（Barthélemy）: フランス語
バーソロミュー（Bartholomew）: 英語
バルタ（Barta, Bartha）: ハンガリー語、チェコ語
バールタ（Bárta）: チェコ語
バルトシュ（Bartosz）: ポーランド語

これらの多様な表記は、バルトロマイという人物の伝承が世界各地に広がり、それぞれの文化の中で独自に発展してきたことを示しています。

バルトロマイに関連する事項

バルトロマイという名前は、歴史上様々な人物や出来事に関連付けられています。例えば、ポルトガルの探検家バルトロメウ・ディアスや、コンスタンディヌーポリ総主教ヴァルソロメオス1世などが挙げられます。また、フランスにおける宗教的虐殺である「サン・バルテルミの虐殺」や、サン・バルテルミー島といった地名にもその名が用いられています。さらに、日本のキリシタン大名である大村純忠や田中吉政は、洗礼名としてバルトロメオ（またはパルトロメヨ）を名乗っていました。これらの事実は、バルトロマイという名が、宗教、歴史、地理など、多様な分野において重要な意味を持つことを示しています。

バルトロマイは、殉教者としてだけでなく、世界各地で信仰を集める聖人として、今もなお人々の記憶に深く刻まれているのです。

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