アスタ・ルエゴ 〜さよなら月の猫〜

アスタ・ルエゴ 〜さよなら月の猫〜

「アスタ・ルエゴ 〜さよなら月の猫〜」は、1977年2月から3月にかけてNHK『みんなのうた』で放送された楽曲です。研ナオコさんの歌声と、どこか懐かしいメロディー、そして印象的なアニメーションが多くの人々の心に残りました。

楽曲について

原曲はフランスの歌手、ユーグ・オーフレイが歌いヨーロッパで大ヒットした「Hasta Luego」。作詞はユーグ・オーフレイとVline Buggyが手掛けました。日本語詞は加藤直さん、作曲はクロード・モルガンさん、編曲は所太郎さんが担当しています。「アスタ・ルエゴ」（¡Hasta luego!）とはスペイン語で「さようなら」「また会いましょう」という意味です。
研ナオコさんにとって、この楽曲は1975年放送の『子象のダンス』に続く『みんなのうた』への出演となりました。

長い年月を経ての再放送

1983年12月～1984年1月の放送を最後に、しばらく再放送はありませんでしたが、2011年4月に『みんなのうたスペシャル 年代別セレクション（1970年代セレクション）』で放送されました。さらに、2015年4月には実に32年ぶりとなる通常枠での再放送が実現しました。その後も、2018年8月の『みんなのうたリクエスト』、2021年7月の通常枠で再放送されています。現在はDVD（第6集）に収録されており、楽曲を楽しむことができます。

レコード版と放送版の違い

研ナオコさんが歌うこの楽曲は、レコードとしても発売されCD化もされています。しかし、レコード音源はレコード発売用に録音されたものであり、実際に放送された音源とは異なります。編曲はいずれも所太郎さんが担当していますが、放送された音源はDVDで聴くことができます。

アニメーションの魅力

映像は、みんなのうたで数々の作品を手がけた福島治さんが担当しました。暗い月夜に、あるマンションに降り立った不思議な猫と、その猫に懐く男性の交流が描かれています。猫が犬に変化したり、間奏で猫の首が回るなど、シュールな演出が印象的です。

未完成版と完成版

実は、この楽曲のアニメーションには未完成版と完成版の2つのバージョンが存在します。主な違いとしては、マンションの壁の色が未完成版では黄色、完成版ではピンクになっている点や、猫の首が回るモーションなどが挙げられます。

福島治さんの証言によると、制作当時は体調不良で撮影日にアニメーションが未完成の状態でした。撮影後、番組スタッフが映像を確認したところ、アニメーションのセルに綿ボコリが写ったままになっていることが判明。そのため、アニメーションを再撮影することになり、福島さんは一部のシーンを書き直しました。

初回放送時はアニメーションが未完成のままオンエアされ、その後、完成版に差し替えられました。しかし、NHKには完成版が保存されておらず、1980年代の再放送やDVD、年代別セレクションでは未完成版が放送・収録されていました。

2015年4月、「みんなのうた発掘プロジェクト」によって福島さんから完成版が提供され、初めて完成版が再放送されました。完成版では、歌詞テロップもニュープリントされています。以降の再放送では、すべて完成版が放送されています。

著作権情報

JASRACには、作品コード「0H0-7217-5 HASTA LUEGO」として登録されています。出版者はSOCIETE SUGARMUSIC EDITION、日本でのサブ出版はフジパシフィックミュージック シュガーミュージック事業部です。

「アスタ・ルエゴ 〜さよなら月の猫〜」は、世代を超えて愛される名曲です。その美しいメロディーと、少し不思議なアニメーションの世界に、ぜひ触れてみてください。

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