アストンマーティン・ラピード

アストンマーティン・ラピード：英国が生んだ、究極のラグジュアリー5ドアセダン

アストンマーティン・ラピードは、2010年から2020年にかけて製造された、同社を代表する大型高級5ドアセダンです。2009年のフランクフルトモーターショーで発表されたこのモデルは、2006年に公開されたコンセプトカー「ラピードコンセプト」を基に、2007年から本格的な開発が開始されました。

その誕生には、英国本社ゲイドン工場の生産能力不足という事情がありました。そのため、初期生産はマグナ・シュタイアのオーストリア・グラーツ工場で行われましたが、ゲイドン工場の拡張に伴い、2012年からは同工場で生産されるようになりました。車名である「Rapide」は、1961年から1964年まで製造された同社の4ドアセダン、「ラゴンダ・ラピード」に由来しています。

圧倒的なパフォーマンス

ラピードの心臓部は、アストンマーティンDB9と共通のオールアルミニウム製5.9L V型12気筒エンジンです。最高出力477PS、最大トルク61.2kgf・mを誇り、ZF製の6速AT「タッチトロニック2」と組み合わされています。最高速度は296km/hに達し、0-100km/h加速はわずか5.2秒という圧倒的なパフォーマンスを実現しています。

洗練されたハンドリング

フロントミッドシップ、後輪駆動のトランスアクスルレイアウトと、アルミニウム製スペースフレームであるVHプラットフォームを採用することで、前後重量配分は理想的な49:51を実現。さらに、前後ダブルウィッシュボーンサスペンションとアダプティブダンピングシステムにより、優れたハンドリングと快適な乗り心地を両立しています。245/40R20(フロント)と295/35R20(リア)のブリヂストン製POTENZA S001タイヤが、そのパフォーマンスを支えています。

贅沢で実用的な空間

5ドアボディでありながら、クーペのような流麗なシルエットが特徴です。リアゲートを持つ実用的な5ドア設計ながら、ピラードハードトップのクーペのようなスタイリッシュなデザインを実現しています。特徴的な「スワンウイング」ドアは、14度上方に開くことで、乗り降りのしやすさと縁石への干渉を軽減しています。

インテリアは、独立4座シートを採用。後部座席は左右独立で電動フォールディングが可能で、快適な空間を提供します。標準装備のバング&オルフセン製オーディオシステムと、オプションまたは標準装備のヘッドレスト一体型液晶スクリーンは、高級感と先進性を演出しています。

アストンマーティンのアイデンティティ

ラピードのデザインは、アストンマーティンの他のモデル、例えばDB9やV8ヴァンテージなどとの共通のテーマを持ち、ブランドのアイデンティティを明確に表現しています。そのエレガントでスポーティなデザインは、時代を超えて愛されるであろう、まさに英国高級車の真髄と言えるでしょう。

ラピードは、優れたパフォーマンス、洗練されたデザイン、そして快適な空間を融合させた、アストンマーティンが誇る傑作と言えるでしょう。その存在感は、所有する喜びと誇りを満たしてくれるに違いありません。

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