アタランテ (小惑星)

小惑星アタランテ (36 Atalante)

小惑星アタランテは、太陽系内の主要な小惑星群である主小惑星帯に属する天体です。発見された順に36番という比較的若い登録番号が与えられており、「36 Atalante」としても知られています。この天体は、その物理的特徴として、他の多くの小惑星と比較してやや規模が大きく、また表面が比較的暗いという性質を持つことが観測によって示唆されています。

発見の経緯

アタランテは、1855年の10月5日に、フランスで活動していたドイツ生まれの天文学者、ヘルマン・ゴルトシュミットによって発見されました。ゴルトシュミットは画家としても著名でしたが、アマチュア天文家としても精力的に活動し、生涯にわたって多くの小惑星を発見したことで知られています。19世紀中盤は、火星と木星の間の領域に多数の小天体が存在することが次々と明らかにされ始めた「小惑星発見の時代」とも言える時期でした。アタランテの発見は、このような時代の流れの中で、ゴルトシュミットの継続的な観測努力によって達成されました。36番目の登録番号は、この天体が比較的天文学的観測の初期段階で確認された天体群に属することを示唆しています。

名称の由来

この小惑星の名前「アタランテ」は、ギリシア神話に登場する著名な人物、アタランテーに由来しています。アタランテーは、卓越した狩りの腕と驚異的な俊足を持つ女傑として神話の中で語り継がれており、その伝説は様々な形で伝えられています。発見者であるゴルトシュミットが、この神話上のヒロインにちなんで命名したとされています。天体の命名は、通常、発見者が国際的な天文学機関に提案し、承認を得るという手続きを経て確定されます。

軌道と物理的特性

アタランテは、太陽から約2億キロメートルから5億キロメートルの範囲に広がる主小惑星帯（メインベルト）を公転しています。この領域には、大小さまざまな形状や組成を持つ数多くの小惑星が密集しており、太陽系形成初期の痕跡を残していると考えられています。アタランテが「比較的大きくて暗い」という特徴は、その表面物質の組成に関連している可能性を示唆しています。暗い表面は、しばしば炭素質の物質が多く含まれる小惑星、いわゆるC型小惑星の特徴とされます。ただし、アタランテの正確なサイズやアルベド（反射率）、そして詳細な組成や自転周期などの物理パラメータについては、さらなる精密な観測と分析が必要です。

観測と研究の意義

アタランテのような個別の小惑星の研究は、太陽系の成り立ちや進化の過程を理解する上で重要な手がかりを提供します。軌道の精密な追跡は、惑星や他の天体との相互作用を明らかにし、太陽系力学の研究に貢献します。また、物理的特性の分析からは、小惑星が形成された当時の原始太陽系星雲の状態や、その後の変遷についての情報を得ることができます。

関連情報

天文学者や研究者向けに、アタランテに関する詳細なデータが複数の公的なデータベースや機関から提供されています。これには、天体の精密な軌道要素や、観測に基づく物理パラメータに関する情報などが含まれます。

関連項目

小惑星の一覧 (1-1000)

外部リンク

アタランテ - JPL Small-Body Database（アメリカ航空宇宙局ジェット推進研究所が運用する小天体データベース。接近アプローチ、発見、天体暦、軌道図、軌道要素、物理パラメータなどの詳細データを提供しています。）
アタランテ - 小惑星センター（国際天文学連合の一部門である小天体センターのデータベース。）
36 Atalante - The Minor Planet Observer and Palmer Divide Observatory（特定の観測機関による情報。）

これらの情報源を通じて、アタランテに関する最新の研究成果や観測データにアクセスすることが可能です。

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