アダイヤー

アダイヤー：英国競馬史に名を刻んだ名馬の軌跡

2018年生まれの競走馬アダイヤーは、英国競馬界にその名を刻んだサラブレッドである。その華麗なる競走生活と、惜しまれつつ幕を閉じた現役時代、そして今後の種牡馬としての活躍に期待が高まる。

名門の血統と華々しいデビュー

アダイヤーの母は、フランスのG3競走であるグロット賞を制し、アイリッシュ1000ギニーで2着という実績を持つAnna Salai。ゴドルフィンという名門オーナーの所有馬であり、その血を受け継いだアダイヤーもゴドルフィンが所有する自家生産馬として誕生した。同厩舎の専属調教師である名伯楽チャーリー・アップルビーの手腕の下、競走馬としての道を歩み始めた。

2歳時には、デビュー戦こそ4着に敗れたものの、続く未勝利戦で圧巻の9馬身差をつけて初勝利を飾る。潜在能力の高さを示すデビューとなった。

ダービー制覇、そしてキングジョージVI世＆クイーンエリザベスステークス制覇

3歳シーズンは、クラシック戦線への挑戦が本格化する。クラシックトライアルで2着、ダービートライアルステークスでも2着と好成績を収め、ダービーステークスへの期待が膨らむ。ダービーでは、騎乗予定だったジョッキーの変更により、アダム・カービー騎手が鞍上に。レースでは見事な末脚で抜け出し、4馬身半差の圧勝劇を演じた。カービー騎手にとってもダービー初制覇という喜びを分かち合うこととなった。

その勢いそのままに、キングジョージVI世＆クイーンエリザベスステークスへ出走。ここでは、逃げ馬を差し切り、ミシュリフやラヴといった強豪を退けて勝利。ダービーとキングジョージの両大競走を制覇する偉業を達成し、その名を競馬史に刻んだ。祖父である名種牡馬ガリレオ以来20年ぶりの快挙であった。

凱旋門賞挑戦とその後

続く凱旋門賞では4着、イギリスチャンピオンステークスでは5着と、ダービー、キングジョージでの活躍とは対照的な結果に終わった。

4歳シーズン以降

4歳シーズンは、コロネーションカップなどへの出走を予定していたものの、体調不良のため回避が続く。しかし、9月の一般戦で快勝し、健在ぶりをアピールした。チャンピオンステークスでは2着と惜しくも優勝を逃したものの、高いレベルの競争力を維持していた。

5歳シーズンは、ゴードンリチャーズステークスで圧勝。しかし、プリンスオブウェールズステークスでは3着、続くプリンセスオブウェールズステークスでも2着と、勝ち星から遠ざかる結果となった。そして、2023年7月28日、現役引退が発表された。

種牡馬としての未来

輝かしい現役生活を終えたアダイヤーだが、その未来は種牡馬として続く。2024年からは、北海道日高町のダーレー・ジャパン・スタリオン・コンプレックスで繋養されることが決定しており、新たな才能を世に送り出すことが期待されている。

アダイヤーの競走馬としてのキャリアは、数々の勝利と惜敗、そして期待と挫折が織りなすドラマであった。しかし、その軌跡は、競馬ファンにとって忘れられない記憶として、これからも語り継がれていくだろう。

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